序章

「シエル! あそこに目的の城があるのか?」

 俺は目お疑った。城のあるとされる場所には何もみえず黒い雲と霧が立ち込め暗闇だ。

「ハクリュウ様…… これは、いったい何があったと言うのでしょうか? 間違いなく、この先には城と街があります。王や他の者たちも……そこに」

 城の者たちが心配みたいで、シエルは不安な表情をしている。

「こりゃ……大変なことになったな。城で何があったかは知らねぇ。だが今起きていることって、お前たちの用となんか関係してるのか?」

 そうグロウディスに問われるも、シエルは何かを隠しているみたいで俯き考えてるようだ。

 俺も知りたい。だけどシエルは言いたくないみたいだし、もう少し様子をみるか。

 そうそう俺が誰で現在、何をしているのか。それを語るには時を遡って説明した方が早いだろう……。

 ――時は遡り…… ――

 ここは俺のいた世界。

「ただいま〜……って言っても一人暮らしのアパートじゃ誰も返事してくれないよな」

 何時ものように部屋に入ると荷物をリビングに置いた。

「さてと今日もゲームをするぞ! なんのクエストをやろう?」

 冷蔵庫からパンを三個とパックのコーヒーを取り出すとパソコンの置いてある部屋へと向かう。

 パソコンの置いてある部屋にくると俺は持っていたパンとパックのコーヒーを机の上に置いて椅子に座った。
 周囲にはノートや参考書などが置いてある。いや色々なゲーム関連の資料や一部萌え系アニメの本も置いてあるのだ。

 まあ、これらは勉強の合間に読んでいるんだけどな。

 二年前から、とあるMMORPGにハマっている。
 そのゲームは色々な要素があり職業なんかも沢山あって楽しい。
 それだけじゃなくて色んな人とチャットで会話もできるから余計にだ。
 そうそう俺の名前は白城しろきひかる。ゲームのハンドルネームはハクリュウ。年齢? 十九歳で大学生だ。

「ギルドのみんなは何してんだろう?」

 そうそう俺は、ギルド【ギガドラゴン】のマスターだ。
 一応は他のギルドから三強と言われ恐れられているみたいだけど、そんなに気にしたことがない。

 他の二強は何処かって? それは追々話すとしよう。

「さて我がギルドへログイン!!」

 パソコンのスイッチを入れゲームのアイコンをマウスを使いクリック。
 画面が表示されたのを確認した俺は、キャラの下に表示されているログインをクリックしたとその時! 周囲が揺れ始める。

 地震? 大きくなりそうだ!

 そう思い机をつかもうとしたと同時に、パソコンの画面が光を放った。何が起きたんだと思いつつも眩し過ぎて目が開けていられず閉じてしまう。

 ……“……――……助けて……お願い………”……

 微かに女性の綺麗な声が聞こえて来た。だが誰だと聞く暇もなく俺の意識は遠のいていった――……。

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 ……――誰かの声がする……綺麗な女性の声だ。そういえば……聞き覚えが、どこでだ?

「…………起きて……起きてください。……た、立ったまま寝ないで!」

 なんのことを言っているのか理解できなかった。だけど気になり目を開いて視線を声のした方へ向ける。
 そこには綺麗なエルフの女性がいて不安な表情で俺をみていた。

 年は……見た目だけなら二十代ぐらいかな?

「あーえっと……」
「良かったですわ……やっと御目覚めになられたのですね」

 目の前のエルフの女性が言っていることを理解できない俺。どういう事だと思いながら、グルッと周囲をみる。

 そういえば、ここは何処だ?

 不思議に思い首を傾げる。

「良かったぁ〜……召喚が成功したのですね。体調の方は大丈夫でしょうか?」

 その言葉を聞き俺は自分の体をみた。

 これって……どうみても、ゲームのアバターだよな? 目の前に、うっすらとステータス画面が浮かんでいる。
 俺はいったい……それになんで、ゲームのハンネのハクリュウって表示されているんだ? そもそも、ここは何処なんだ!?

 ひたすら悩んでみたが分からない。

「いきなり召喚されて困惑なされているのですね。ああ、そうでしたわ! 自己紹介をしませんと」

 そう言い俺をみたあと再び口を開いた。

「ワタシは召喚魔導師のシエルと申します。それと、ワタシが貴方さまを異世界から召喚しました」

 召喚…………!?

 俺の頭の中が一瞬真っ白になる。

「えっ、えぇぇえええー!?」

 我に返ったと同時に俺は叫んだ。

「召喚されたって、いきなり言われたら驚きますよね。それでも、ワタシが間違いなく召喚しました」
「なんのために……俺なんかを召喚したんだ?」
「それは……この国を救って欲しいからなのです」

 そう言われるも俺は、まだ納得できずにいる。

「ちょ、ちょっと待て!? 俺が、この国を救うって? えっと……」
「そのために召喚しました……白き英雄である貴方さまを」
「……白き英雄って。俺に……そんな力があるのか?」

 そう俺が聞くとシエルは微笑んだ。

「勿論あるはずです」

 そうハッキリと、シエルに言われ俺は照れてしまった。

「そんな力があるなら試したい。でも国を救うって……いったい何が起きてるんだ?」
「そのことに関しては、ワタシの口からは申し上げられません」
「分からないんじゃ……んー……どうしようかなぁ」
「そう言わずに……」

 俺がこんなことを言ったので、シエルは困ってしまったようだ。

「そうそう、そうでした! 領主である王が望みの物を差し上げると言っていたのを思い出しましたわ」
「……望みの物かぁ。なんでもいいのか?」
「恐らくは……大丈夫だと思います」

 どうも言っていることが、とってつけたようで余計にシエルに対して疑心を抱いた。

「どうしよう……」
「あっ……そうでした! 名前を聞くのを忘れていましたわ」
「ん? あっ、ごめん……そうだったな。俺は、えっと……ハクリュウ」

 なんでいきなり名前を聞いてきたんだ? 納得できてないけど……今シエルにこれ以上聞いても教えてくれそうもないよな。

「そうだな……断る理由もないし。それに王さまに合わないと何も分からない。という事で、よろしくな……シエル!」

 そう俺が言うとシエルは今まで気を張っていたのか急に力が抜けたように地面に座り込んだ。

「ああ……良かったですわ。ハクリュウ様に断られたら、どうしようかと思っていました」

 そう言うとシエルは視線を俺の方へ向ける。

「それでは今から私たちの国であるホワイトガーデンに……そして領主である王の下に参りましょう」

 そう言いシエルは俺の目の前に手を差し出した。
 それをみて俺は差し出された手を取る。

「ああ……行こうか!!」

 そう言い俺は、シエルと神殿の外へでた。

 ★☆★☆★

 神殿の外に出た俺は思考を巡らせる。

 まだ納得できてないけど。今は、とりあえず様子をみて行動。うん……納得は、そのあとからすればいい。

 そう思いながら俺は辺りの景色をみた。

 それに、この国の領主……王さまに逢ってみないと分からない。ただ、なんでゲームのアバターで召喚されたんだ? その辺も理解できてないしな。

 そう考えながら俺は色々と頭の中で整理をする。

 まぁ……考えても仕方ないか。それに、レベルやステータスもそのまま召喚されてる。ってことで戦闘になっても……うん、なんとかなるだろう。

 そう思い俺は、フウーっと息を吐いた。

「どうなさいましたか?」
「ああ、なんでもない。それよりも行こう!」

 そう俺が言うとシエルは頷き笑みを浮かべる。
 その後、俺とシエルは白き神殿の祭壇からホワイトガーデンへと向かい歩き出した。


 ――そして、ここから俺の新たな人生と旅が始まる――
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