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第12時間目「クラスの頂点に君臨する者」

 クラスのトップに君臨する者。それはクラスメート一人一人に気を配り、まとめ上げ、引っ張っていく、言わばリーダー。トップヒーローならぬトップオブクラススチューデントを目指す1年A組の戦いの火蓋が、今落とされる。




マリア「みなさんおはよう。この学校になれたかしら?この学校ってとても広いわよね。」
雄英高校は全国の学校の中でもとてつもない面積を誇る学校だ。一年生は最初のうちは迷子になることも珍しくない。早速遅刻したA組の生徒はというと
剛「先生!遅刻してごめんなさい!」
扉が勢いよく開いた。そこに立っていたのは剛だった。彼は走ってきたのか息が上がっている。マリアは大人の余裕を見せる笑顔で剛を迎えた。
マリア「あなたが記念すべきA組遅刻者第一号ね。さ、席に座りなさい。」
剛は一礼してから早歩きで席に座った。マリアは気を取り直すと、真剣な顔になって話した。
マリア「あなたたちに大事な話があります。」
       (ゴクリ…。)
生徒は緊迫の空気に包まれる。
マリア「…今から委員会決めをします。」
生徒「…。」
マリア「…。」
    「…!委員会決めキター!」
生徒たちは待ちに待った委員会決めに気分が高潮した。だがみんなが本当に興味のあることは…。
マリア「さて、最初は学級委員からー」
亜理子「はい先生!学級委員は私にお任せください!」
亜理子が待ってたようにすぐに名乗りを上げた。
髪木「待て!俺が学級委員になるからな!」
翼「俺もやりたい。だって学級委員って楽だろ?」
大地「オラ、学級委員に憧れてたべ!やりたいだぁ!」
走太「僕もやってみたいなーって思ってました!」
私も、俺もと名乗る生徒たち。ついにはみんなが学級委員をやりたいとマリアに訴えていた。
   「○△□※♨︎☆◎♪!✳︎?●〜」
マリア「うん、うんうん、うんうんうんうんうん、あーはいはいはい、って聞き取れるかっ!」
みんなは一斉に静まり返った。マリアは静かになったのを確認して、気を取り直して言った。
マリア「投票にしましょうかしら…、でもそしたらみんな自分に入れるだけだわ。」
生徒はギクリとした。マリアの言うことが全く合っていたからである。すると秀英がポツリと提案した。
秀英「ジャンケンはどうでしょうか…。」
クラスは口をポカーンとさせて秀英の方を向く。
髪木「今、なんて言ったんだ…?」
秀英は今度はみんなに聞こえるように言った。
秀英「ジャンケンだ。ジャンケンは安全かつ平等に決められる、世界で一番、いや、銀河で一番素晴らしい決め方かもしれない。」
すると響が我ながらいい案を思いついたようだ。
響「なあ伊集院!くじ引きってのはどうだ?」
これを聞いた秀英は呆れたかのようにため息をつく。
秀英「音音、くじ引きをするのに、なぜ時間とコストがかからないだろうか、いや、かかる。」
響「なんで反語で言ったの?」
響の疑問に何も答えず、秀英は続けた。
秀英「くじ引きも確かに案の一つとしては良いだろう。だが、くじ引きをするのには、紙と箱が必要だ。それに加えて、使い終わったら箱はともかく、紙を捨てなければならない。資源だけでなくそれを準備する者の時間、労力も無駄になってしまう。」
秀英の説得力に、みんなは納得した表情であった。特にマリアは、秀英はとても賢いと感心したのだった。すると走太はアッと思いついたように提案した。
走太「秀英くん!ラインのあみだくじはどうかな?」
走太の案に、ほとんどは賛成をした。だが秀英は反対だった。
秀英「速光、中には機械に決めてもらうのを拒む者もいるはずだ。」
その意見に同意したのはプライドが高い女だった。
亜理子「ええ!私自身で決めないと嫌よ!」
秀英はキラッとメガネを直して言った。
秀英「やはりジャンケンに勝る方法などない!俺の証明に間違いはない!」
秀英のセリフがバシッと決まった。
       「おーー!」
秀英の証明に一同は感心して拍手した。秀英はクールに席に座る。
マリア「伊集院くんすごいわ!みんな異論はなさそうね。決め方はジャンケンにしましょう!」
   「うおおおおお!!!!!!」
クラスに喚声が上がった。1年A組、本当の最初の戦いが幕を開けたのだった。
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