第二章
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第二章
その日、昼食をもらった後、私は高熱を出して一日寝込んでいた。
急にいろいろなことが起こって、疲れが出たようだった。
次の日には熱も下がり、キッド海賊団との共同生活が始まった。
皆が名前を名乗ってくれたけど
いきなり全員は覚えられそうにない。
ただ、キラーをはじめ、皆見た目は怖いけど話しやすく、気さくな人が多かった。
どうして船長のキッドだけがこんなにも横暴でひねくれているんだろう、と不思議に思ったほどだ。
キラーに船内を一通り案内してもらうと
私の部屋を用意しておいてくれていた。
「悪いな。うちは女部屋なんてないから、ここぐらいしか空いてなかったんだ。」
倉庫を急いで片付けてくれたようだった。
それでもちゃんとベッドは用意されていて
小さなテーブルもある。
「十分だよ。迷惑かけるのに部屋まで用意してもらえて。ありがとう。」
「野郎共と一緒に寝かせるわけにはいかないからな。」
「キラーは優しくて気がきくね。キッドとは大違い。」
「確かに全てが乱暴な奴だが、いざと言うときには頼りになるんだ。あまり嫌わないでやってくれ。」
「…まぁ、キッドにも助けられたことには変わりないからね。仲良くなれるように努力する。」
「よろしくな。」
キラーとダイニングへ戻ろうとすると
その方向からドカドカと豪快な足音が聞こえてきた。
ヤツだ。
「おい女ァ!飯まだかよ!!」
「俺が引き止めてたんだ。そうカッカすんな。」
「もう昼になるぜ。いつまで遊んでやがんだ。」
「ごめんなさい、今作るから!」
「手伝おうか?」
「オイ、甘やかすなキラー。こいつの仕事だ。」
「ひとりでやれるよ。ありがとう、キラー。」
キラーに手を振って
キッドの目の前を通り過ぎるときに、めいいっぱい憎たらしい顔をして一言言ってやる。
「女、じゃなくて、名前はミドリだから。」
「可愛くねェ女!」
吐き捨てるように言い返されたけど、聞こえないフリをしてキッチンへ向かう。
キラーにはああ言ってしまったけど、ヤツとどうやって仲良くやったらいいのかさっぱりわからない。
それよりも今は皆の昼食だ。
料理は得意。
だけどあんなに大人数の食事を用意したことはなかったので、キッチンに立つとうまくできるのか、と急に不安になる。
しかし、やると言ったからには頑張らなくては。
私は、大人数には煮込み料理だ、と思いシチューを作ることにした。
別にお肉もたくさん焼いて。
たくさんあるパンとフルーツをそれぞれお皿に盛り付ける。
これだけあれば十分だろう。
と、思っていたのに、テーブルに並べれば
あっという間に全てのお皿が空になった。
「あの、みんな足りたのかな?」
「腹いっぱいだ!ありがとな!」
「久しぶりにうまい料理だったな。」
「これから毎日こんなにうまいモンが食えるのか。」
船員のみんなが口々にそう言ってくれたので
私は安心した。