笑顔をみせて/キラー
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クルーに別れを告げて、ミドリは帰っていった。
ログが貯まるまでの一週間。
全員が屍のようだった。
「寂しいな〜。」
「洗濯溜まってんぞ。誰かやれよ〜。」
「うまいメシが食いてェ。ミドリの。」
クルーたちが事あるごとにそんな愚痴をこぼしていた。
「うだうだうるせェな!次またあいつの名前を出したら殴るぞ!!弱音も吐くな!!」
「怖ェよ…お頭。」
キッドもまた、荒れていた。
この男がきっと、一番寂しがっていることだろう。
それを口に出せない分、クルーたちに八つ当たりをしているのが見え見えだ。
ーーーーーーー
ログが貯まり、出航準備が始まった。
仲間たちはミドリのことを吹っ切り
次の島へと気持ちを切り替えている。
ただ、キッドだけがまだ
煮え切らない表情をしていた。
意外と引きずるタイプだったことに
親友の人間らしさが見えて
俺はなんだか嬉しくなった。
「……いいのか、キッド。」
「何がだ。」
余計な世話なことはわかってる。
ただ、女ひとりのことで悩んだままで
こんな覇気のない男を頭に
これから入ろうとしている新世界の海なんて渡っていけるわけがない。
キッドの目の前にエターナルポースを差し出す。
「これは……」
「ミドリに返しそびれていたんだ。届けてやってくれないか。」
ギロリと俺を睨む。
俺の意図を察したようだ。
余計なことすんな、そういう目だ。
「もううちへ帰ったんだ。今更いらねェだろ。」
「でも、ミドリのものだ。」
「………。」
「この港町の奥にミドリの町があるらしい。」
この男は素直じゃないから
これだけ言っても、やはり動かないか。
諦めかけたとき、
キッドは乱暴に俺の手からそれを奪った。
「出航を1時間遅らせろ。」
「……了解。」
キッドはそのまま町へ向かった。