笑顔をみせて/キラー
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ミドリの島へ向かって出航した。
クルーたちはミドリと離れる寂しさを口々にしていた。
そんな中、キッドはいつもと変わらぬ調子で
ミドリに悪態をついてみせた。
俺は無性に腹が立った。
ミドリがこの男に自分の気持ちを伝えたのかはわからない。
それでも、この時のキッドの態度を許せるほど
俺は大人になれなかった。
「謝ってこい。」
「あ?何をだよ。」
「ミドリにだよ。わざわざあんな傷付ける言い方することないだろ。」
「あんくらいで傷付くかよ。」
「……お前色々気付いてるんだろ?」
「何の話だ。」
「言わせるな。ミドリの気持ちも、自分の気持ちもだよ。」
「……意味わかんね。」
「いいから行け。」
「………。」
「後悔するぞ。」
「っだよ!うるせェな!!俺に指図すんじゃねェよ!!」
お前は俺と違って
手を伸ばせば届くんだ、キッド。
このままだと、必ず後悔することになる。
キッドのそんな姿を、俺は見たくない。
ーーーーーーー
気候が安定してきたため
ミドリの島の領域に入ったことがわかる。
洗濯物をしまっているミドリに声をかけた。
「……キッドとのことは?決着ついたのか?」
「……さよならする覚悟はできた。どうしたってあいつは私をそばに置いておく気はないようだから。」
「そうか。」
「色々とありがとうね、キラー。」
「俺は何も。とにかくあと一日だ。準備しとけ。」
「うん。」
顔は笑っているが
どうやっても消しきれないミドリの寂しさが伝わってきた。
俺にはどうしてやることもできない悔しさを抱えながら甲板へ行くと
キッドがひとり、海を眺めていた。
結局この不器用な男は
ミドリのことは諦めたようだ。
自分の夢を叶えるため。
そしてミドリを想ってのことだろう。
気持ちは痛いほどわかる。
が、本当にそれでいいのか……キッド。
俺はミドリが幸せなら構わないが
本当にこのままキッドと離れて
彼女が幸せになれるのか。