笑顔をみせて/キラー
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とにかく、あんなに楽しそうなキッドは
俺でもあまり見たことはないし
ミドリも、最初はキッドが嫌いだと言っていた割に
あんなに笑顔を振りまいて。
側から見たら恋人同士だ。
2人が船へ戻ったのを見計らって
時間を置いて俺も船へと戻った。
ダイニングでは濡れた服を着替えたミドリが
コーヒーを淹れていた。
「キラー!今戻ったの?おかえりなさい。」
全身の力が抜けるほどの満面の笑み。
先ほどの仕打ちを忘れそうなほど
癒されるものだった。
「あぁ。俺にもコーヒーもらえるか。」
「うん。」
何も言わなくても
俺の分はアイスコーヒーを用意して
ストローをさして出してくれる。
そして、自分のカップを手に隣に座った。
すぐ右隣にある一回り小さな体に
柄にもなく、鼓動が速くなるのを感じた。
「……何かあった?」
「ん?」
「元気ないような気がして。」
言いながら顔を覗き込んでくるミドリ。
焦った。
素顔なんて見えていないくせに
自分でも意識していなかった
俺の変化に気付いた。
でも
君とキッドが仲良さそうにしていたのが
気に入らない。
なんて、言えるはずもない。
「気のせいだろ。」
「そう?ならいいけど。」
安心したように笑顔を見せて
コーヒーを口に含む。
ミドリ。
君は気付いていないだろう。
君の一挙一動が
俺の心をこんなにもかき乱していることに。
君を拾ったとき
面倒なことになると思った。
思ったとおりだ。
本当に面倒なことになった。
ただ隣で楽しそうに話をするミドリが
欲しくて欲しくてたまらない。
たとえ知らない男のモノだったとしても。
親友のモノになったとしても。
どうやってこの気持ちを忘れたらいいのか
今の俺にはわからない。