笑顔をみせて/キラー
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ミドリが行方不明になった。
こんなことになるなら
きちんと人攫いのことを説明しておくべきだった。
その場にいた仲間たち全員に緊張が走る。
この数日で、ミドリはすでに
クルーのひとりであるように皆から慕われていた。
もちろん俺も。
ミドリがいなくなった。
それだけで動揺し、これまでにないほどの不安と焦りに支配される。
キッドに代わって俺が冷静でいなければいけない。
その一心で心を落ち着けたが
本当のところ、気が気じゃなかった。
街中を走り回りながら
ミドリの笑顔が脳裏に浮かぶ。
もしもこのまま、あの笑顔が二度と見られなくなってしまったら
俺は悔やんでも悔やみきれない。
俺の中でミドリの存在が特別なものになっているのは確実だった。
ーーーーーーー
「ありがとう、みんな……」
キッドに抱えられて
ミドリが帰ってきた。
この時、キッドではなく俺が一番に
ミドリのもとへ駆けつけることができていたら
俺が君のヒーローになれたのか。
日誌なんて投げ出して
最初から俺が君と出かけていれば。
そんなことを考えて
自分の恋を自覚した。
泣きそうな顔でキッドの首に抱き付く
ミドリを見て
どうしようもなく君が欲しくなってしまった。
婚約者がいることは知っている。
そしてキッドへ対しても
特別な感情が生まれ始めていることもわかる。
君の心に
俺が入り込めるような隙間はもうないだろう。
それでもいい。
ともに航海を続けるこの短い間だけ
君の笑顔を見ていたい。