エピローグ
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〜エピローグ〜
それから2年の月日が流れ
私は二十歳になった。
この年まで結婚もせず、婚約者もいない女は
村では私ひとりだけだった。
世間体を気にした父に言われ
周りの人たちには「私の婚約者は冒険家で、今は世界中を旅している」ということにしている。
キッドからの連絡は一切なかった。
そもそも連絡手段がないのだから仕方ない。
その代わり、ニュースクーが運んでくる
新聞や手配書が何よりの便りだった。
「見て!新聞にキッド君が載ってるわ!」
朝、母が嬉しそうにテーブルに新聞を広げ
私と父がそれを覗き込む。
「また何かやらかしたか。」
「海賊同盟?他の海賊と手を組んだってこと?」
「海賊の世界はよくわからないけど、元気そうで何よりだわ。」
母はハサミを出してきて嬉しそうにその部分を切り取りはじめた。
キッドはあれから、明言していたとおり名を上げ
今では知らない人がいないくらいの大海賊となり
レッドラインの向こう側の海にいるようだ。
本当にすごいことだと思う。
着実に夢へと近付いていっているキッドを
尊敬する気持ちもあり
遠く感じて寂しくなることもある。
会いたくならない日はない。
キッドの温もりを求めない日はない。
涙する夜もある。
それでも乗り越えてこられたのは
キッドが待ってろと言ってくれたから。
2年前の
ひと夏にも満たない私の恋は
今も続いている。
私はずっとここで待ち続ける。
きっといつか
必ずあなたが迎えに来てくれるから。
…fin