最終章
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
2人が見えなくなる頃
私は夢のような出来事に頬をつねってみる。
痛い。
夢じゃない。
「キッド……あの…さっきの本当?」
「あ?いくら俺でもあんなタチの悪ィ嘘吐かねェよ。」
「そうだよね……」
これは現実なんだとわかって
急に鼓動が早くなり、全身が熱くなる。
キッドがグランドラインを一周したら
私と結婚してくれる。
にわかに信じがたいけど
そんな約束をしてくれるなんて
こんなにも幸せなことがあるだろうか。
いつになるかはわからない。
叶う夢なのかもわからない。
けど
キッドを忘れなくていいんだ。
このまま待っていていいんだ。
心が救われた。
「こいつはもらってく。」
キッドの手には、あのエターナルポースが握られていた。
「キラーがお前に返し忘れたって、預かってた。」
「そうだったんだ。」
「こいつがあれば、ここに戻れるだろ。」
満足げに口角を上げるキッドに
私も自然と笑顔になった。
「ありがとう、キッド。」
「わかんねェぞ。何年かかるか。」
「平気。私ずっと待ってる。」
返事の代わりなのか
キッドの顔が近づいてきたので目を閉じた。
触れるだけのキス。
それは約束のキス。
唇が離れると頬に両手を添えられ、見つめられる。
いつになく優しい掌の感触に
私はまた目頭が熱くなる。
「元気でね。」
「おう。」
それを最後に、キッドは背を向け
船へと向かった。
乗り込む前に一度だけ振り返ったキッドに
私は笑顔で手を振った。
いってらっしゃい。気をつけて。
心の中で、そうエールを送って。