最終章
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どのくらいの時間そうしていただろう。
腕の中で子どものように泣きじゃくる私の背中を
キッドはずっと撫でてくれていた。
私が落ち着くころ、キッドがゆっくり話し始める。
「……グランドラインを一周したらよ…」
「……うん…」
「俺はもっと強くなってる。お前ひとりくらい守れるようになる。そしたら……連れてってやるよ。」
その言葉に、思わず体を離しキッドを見上げる。
真っ直ぐに視線が交わった。
「それまで待ってろ。」
何かを決意した、迷いのない瞳だった。
「待ってていいの?」
「……必ず迎えにくる。そしたらそのときは——」
「ミドリ。」
横から名前を呼ばれて、声がした方を振り返る。
「お父さん、お母さん……」
突然現れた2人に
私だけでなく、キッドも驚いていた。
「お前か。ミドリが惚れたとか言ってる輩は。」
怒った顔の父がズカズカと近付いてきた。
「ふ、ふざけた格好して。なっ何が海賊だ。」
キッドの大きさとその迫力に尻込みしたのか
最初の勢いはだんだんと失われていった。
隣ではお母さんが私に耳打ちをする。
「ごめんねミドリ。あなたがいなくなって、母さん心配でお父さんに連絡しちゃって。」
「大丈夫だよ。勝手にいなくなってごめんね。」
その横でキッドが父に名乗っていた。
「ミドリの親父か。ユースタス・キッドだ。」
ちゃんと自分から名乗るなんて、少しは常識をわきまえているんだな、なんて感心したけど
背の高いキッドはどうしても父を見下ろしてしまうし、態度はすごく偉そうだ。
「や、野蛮な海賊が。私の娘をたぶらかしやがって。」
「親父には関係ねェじゃねェか。」
「お前のせいで娘が行き遅れる。」
「行き遅れるのが心配なら、俺がもらってやれば文句はねェだろ。」
その言葉に
父だけでなく、私も母もポカンと口を開けた。
今、なんて……
「俺が結婚してやるよ。」
念を押すように、はっきりとキッドは言い放った。
「この海を一周して戻ってくっから待ってろ。」
「まぁ♡」
驚きのあまり私と父が黙る中
母は顔の前で手を合わせて喜んだ。
「素敵なプロポーズ。良かったわね、ミドリ。」
「許すわけないだろ!海賊と結婚なんて!」
「ただの海賊じゃねェ!俺は海賊王になるんだよ!」
「何が海賊王だ!そんな得体の知れない奴に娘をやれるわけ——」
「まぁまぁ良いじゃないお父さん。ミドリが幸せなら。」
「幸せになれるわけないだろ!こんな男と!」
「いいから俺に任せておけよ、親父。」
「ほらこう言ってくれてるし、今はお別れの時なんだから、2人にしてあげましょう。」
母は、まだブツブツと文句を言っている父の手を引いて街の方へと戻っていった。