第一章
お名前設定
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「名前は?」
「ミドリです。」
「こいつはこの船の船長、ユースタス・キッド。俺はキラーだ。」
聞いたことのない名前だ。
本当に海賊なんだろうか。
「……てめェ今俺の名を知らねェからってバカにしたろ。」
「え……」
「俺はこれから名を上げるんだよ。覚えておけ。」
「で、ミドリはなぜこの島に?」
「私、この島にいたの?」
「あぁ。浜辺に倒れているのを連れてきたんだ。」
「キラーてめェ自分ひとりで助けたような言い方しやがって。おぶってきたのはお前だが連れてくと言ったのは俺だぞ。」
「わかったわかった。」
「そうだったんですか。助けてくれてありがとう。実は…」
私は2人にこれまでの経緯を話した。
「そういえば2、3日前の新聞で、大型のクルーズ船がシケにやられて沈没したって読んだな。客も乗組員も全滅だったって。」
「全滅?ハッハッハッ!!」
なぜかキッドが笑い出した。
「何かおかしい?」
「その事故の生き残りがてめェか。傑作だな!」
こっちは九死に一生を得てなんとか生き延びたというのに、笑い者にされてなんだか腹が立った。
それにこれまでのキッドの態度の悪さが重なって、私はついに我慢が出来なくなってしまった。
「そんなに笑うことないじゃない!」
「あ?うるせェな。俺が笑いたいときに笑って何が悪い。」
「嫌な人。」
「命の恩人に対してひでェ態度だな。」
「おぶってきてくれたのはキラーでしょ?診てくれたお医者さんや、食事を用意してくれた人には助けられたけど、キッドには何もしてもらってない。命の恩人なんかじゃないわ。」
「あのなぁ、この船の頭は俺だってことを忘れてねェか。」
キッドは額に血管を浮き上がらせながら拳を握って立ち上がった。
これを隣に座るキラーが制す。
「キッド、やめておけ。相手は女だ。」
私はキッドの迫力に思わず尻込みした。
「な、何が頭よ。一番偉ぶってるだけじゃないの?」
「ぁんだと!?」
「ミドリも、それくらいにしておけ。こいつをキレさせると冗談抜きに命はないぞ。」
「………」
「てめェ自分の立場を全然理解してねェな。」
キッドは舌打ちすると再び椅子に座った。