番外編 〜最後の手料理を〜
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「キラーに聞いたの。キッドはロールキャベツが好きだって。きっと最後だから…食べて欲しくて……だから良かった。」
「……お前がよ…」
「ん?」
「キラーの部屋から嬉しそうに出てくっから、胸糞悪くてよ。」
「それって……やきもち?」
言った瞬間
キッドの顔がバッと赤くなった。
「な、バカなこと言ってんじゃねェ!」
言いながらそっぽを向いてしまったキッドの耳が赤い。
本当にずるい男だ。
もうすぐお別れだというのに
私をこんなに愛しい気持ちにさせて。
「まぁ、マジでうまかったよ。そこだけは褒めてやる。」
「……専属のコックとしてこの船にいてあげてもいいよ。」
「ハッ。お前も諦めの悪ィ女だな。」
半分冗談、半分本気で言ったのだけど
キッドはそれを笑い飛ばした。
と、視線を前に向けたキッドの動きが止まる。
私も同じ方向へと視線を移すと
遠くに、小さく島が見えた。
「……お前の島か。」
「まだよく見えないけど…たぶんそう。帰ってきたんだ……」
「あぁ。よかったな。」
離れる前にもう一度、その手に触れたくて
そっと右手を伸ばして、キッドの左手に触れてみた。
キッドは前を向いたまま
指を絡めて、力強く握ってくれた。
繋がれた手からキッドの体温が伝わる。
それ以上、会話はなかった。
誰かが来るまで
2人ずっと手を繋いだまま
海を見つめていた。