番外編 〜最後の手料理を〜
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コンコン——
キラーは食事を終えると
キッドの分のロールキャベツを手に
船長室を訪れた。
「昼飯だ。」
「だからいらねェって。」
キッドの返答にも構わずドアを開けて中に入り
テーブルにそれを置く。
「ミドリが作った。お前のためにだ。」
「……ロールキャベツか。」
「お前の好物、さっき俺に聞いてきたんだよ。最後に好きなモンを食わしてやりたいからって。」
「……そういうことかよ…」
「何に腹立ててたのか知らないが、ちゃんと食べて感想を伝えてやれよ。」
キッドは目の前に出された、いい香りを漂わせているロールキャベツを一口食べた。
「……うめェな、ちくしょう…」
次々とそれを頬張るキッドを見て
キラーは満足そうに部屋を出た。
「ミドリなら甲板だ。行ってやれ。」
あっという間に空になった皿はそのままに
キッドは勢いよく立ち上がると甲板へと向かった。
ーーーーーー
ドスドスという
いつものあの足音が聞こえてきた。
身構えながらも、気にせずにそのまま柵に肘をかけて海を眺めていると
足音はどんどん近付き、隣で止まった。
「……うまかったよ。」
そう呟いたキッドの横顔は少し拗ねているようにも見えた。
「食べてくれたの?」
「あぁ。キラーの野郎がお節介でよ。」
「そっか……美味しかったなら良かった。」
思わず笑みが溢れる。
本当は美味しそうに食べているところを目の前で見たかったけど
うまかった、の一言だけで胸がいっぱいになった。