第一章
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
まだうまく力が入らない体でふらつきながらドアを開けて出る。
と、そこは船の甲板だった。
どこから外に出られるんだろう。
降り口を探していると、強い力で腕を掴まれる。
「待て!」
「痛っ!」
「キッド、乱暴はよせって!」
赤い男に続いて、もう一人大きな男が私を追ってきていた。
穴の開いた仮面を付けているので顔は見えない。ボサボサの金髪が背中まで伸びている。
海賊って、みんなこんな奇抜な格好するものなの?
その人に言われる。
「俺たちを怖がるのも無理はないが、とって食ったりしない。中に戻らないか。」
「お願いです。逃してください。」
「おい、泣くことねェだろ。面倒くせェな。」
赤い男がしぶしぶ手を離してくれた。
気付けば涙が溢れていた。
そんなこと言われたって怖いものは仕方ない。
「逃してもいい。」
「本当?」
「オイ、何勝手なこと言ってんだキラー。」
「だが、この島を見てみろ。」
言われて、周りを見回す。
私は再び絶望の淵に立たされた。
「見ての通り、ここには俺たち以外誰もいない。食べ物もない。ちなみに君が乗ってきたボートは使い物にならない。ここで俺たちから逃げてひとりになったところで、どっちみち生き残れないと思うけどな。」
「………」
「俺たちもログが貯まるまではここにいる。その間、君の体調が回復するまで、とりあえずはうちの船で過ごしたらどうだ?」
「……わかりました。」
赤い男と違って、この人は少しはまともに話ができそうだ。
でも相手は海賊。心を許してはいけない。
仮面の男と話していると、赤い男が間を割って入ってくる。
「おい、これはこの俺の船だ。ここにいる間の食事と寝床は保証してやる。代わりに俺の言うことには歯向かうな。わかったな。」
「わ、わかりました……」
「キッド、これ以上怖がらせるな。食事の用意がある。食べられそうか?」
「はい…いただきます。」
仕方なく2人に続いてダイニングへ戻り
テーブルに着く。
目の前に用意されていた食事。
遠慮なくいただくことにした。
こんな時でも空腹に勝てない自分を恨む。