第七章
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ベッドに倒れ込んで、必死で涙を堪えた。
結局私は、どうあがいてもキッドのことが大好きで
キッドの一挙一動に浮き沈みして
いつも振り回されている。
こんな短い期間で、ここまで人を好きになるなんて有り得るのか。
しかも相手は
優しくて一緒にいると安心できる婚約者の彼
ではなく
口が悪くて横暴で
いつも意地悪ばかりの自分勝手な男。
どうかしているかもしれない。
それでも、私にとっては一世一代の恋なんだ。
どうせ嫌われているなら、キラーに言われたように
最後にこの気持ちを全部ぶつけてやろうか。
そんなことを考えていると
ドスドスという、いつものあの足音が聞こえてきて
ドアの前で止まる。
ドンドンッ——
なんて乱暴なノックだろう。
「……はい。」
かすれた声が出た。
「開けるぞ。」
声を聞いてしまっただけで
また涙腺が緩くなった。
「……だめ。」
少し動いたドアノブは
元に戻り、ドアが開くことはなかった。
「……泣いてんのかよ。」
「………。」
なんて答えたらいいのかわからない。
あんたのせいで泣きそうでした、なんて言えないし。
私が黙ってると、キッドも喋らない。
あまりに静かで、もう行ってしまったのかと思ったけど、足音が聞こえないし、きっとまだドアの前にいる。
開けてあげようと仕方なく立ち上がりドアのところへ行くと
「……悪かったな。」
聞き逃しそうになるくらいの小さな声だった。
「あんなこと、本当は思ってねェよ。」
さっきの言葉のことだろう。
急にしおらしくなったキッドの態度に動揺した。
それと同時に、少し期待してしまう。
「何か言えよ。」
ずっと黙ってる私に、いよいよ痺れを切らしてきたみたい。