第七章
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船出日和だった。
朝食を終えるとすぐに準備をして
私の島へ向け、船は出航した。
晴れやかな空とは裏腹に、私の心は曇っている。
「次の島でミドリはこの船を下りちまうんだな。」
「あのうまい飯はあと何回食えるんだろうな。」
「掃除も洗濯も、また俺たちがやるんだぜ。」
「それな。」
「ありがとう、皆。こんな私でも役に立ててたんなら嬉しいよ。」
「いい子だな〜!」
甲板でクルーの皆と話していても
キッドはリクライニングチェアに寝そべり
話に入る様子はない。
本当にこの男は、少しも寂しいとか思ってくれないのかな。
私なりに、最初の頃に比べれば結構良い関係を築けたと思ってたんだけどな。
と、ひとりがキッドへ話を振った。
「お頭は、寂しくないのかよ?」
私の考えを読まれたような質問に
ドキッとしてキッドを見る。
「あぁ?当たり前だろ。厄介払いできてせいせいするぜ。」
表情も体勢も変えないまま
こちらを見もせずに平然と答えた。
キッドの言葉が胸にグサっと刺さった。
「ひでェなお頭。」
「気にすんなよミドリ。」
「うん、大丈夫だよ。私ちょっと部屋で休むね。朝から船出準備で疲れちゃったみたい。」
そう言い残して、その場を離れた。
キッドは最初から私のことなんてこれっぽっちも必要としていない。
期待してはダメ。
わかっていたことなのに、いざ現実を突きつけられて傷付いている。
泣くもんか。
必死で涙を堪えながら、もうすぐ使うこともなくなる自分の部屋へと逃げ込んだ。
ーーーーーー
「謝ってこい。」
「あ?何をだよ。」
甲板では、隅の方で黙って聞いていたキラーが、キッドに攻め寄っていた。
「ミドリにだよ。わざわざあんな傷付ける言い方することないだろ。」
「あんくらいで傷付くかよ。」
「……お前色々気付いてるんだろ?」
「何の話だ。」
「言わせるな。ミドリの気持ちも、自分の気持ちもだよ。」
「……意味わかんね。」
「いいから行け。」
「………。」
「後悔するぞ。」
「っだよ!うるせェな!!俺に指図すんじゃねェよ!!」
キッドは勢いよく立ち上がり、キラーを睨み付けると
乱暴にドアを開け、船内へと入っていった。
「世話が焼けるな。」