第七章
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甲板に出る。
ジリジリと太陽が照り付ける中
時折吹く海風が心地良い。
柵に手をつき、島を見る。
波打ち際ではクルー達が何人か海水浴をしていた。
皆二日酔いはすっかり良さそうだ。
この島を出たら、家に帰るんだ。
ここが、キッドたちとの最後の場所。
この船に乗せてもらって二週間。
これまでの私の人生からは想像がつかないほど
刺激的であっという間だった。
もうすぐお別れだと思うと
やっぱりとても寂しい。
思い出作りに、私も海水浴に混ぜてもらおうかな。
一度伸びをして、柵から振り返ると
いつものリクライニングチェアにキッドの姿があった。
「………!」
頭の後ろで組んだ腕を枕にして
気持ちよさそうに寝息を立てている。
ずっとここで寝ていたようだけど、全く気付かなかったんだ。
ジャングルへ狩りに行ったとばかり思っていたから、少し驚いた。
起こさないようにそっと近付く。
隣にしゃがみ込んで顔を見る。
いつも通りきっちりとセットされた真っ赤な髪。
筋の通った整った顔立ち。
悔しいけど、やっぱり格好いい。
——全て伝えたらいい。気持ちをぶつけろ。
キラーの言葉が頭に浮かぶ。
「………すきだよ、キッド……」
起こさないように、すごくすごく小さな声で練習のつもりで言ってみた。
途端に顔が熱くなって
恥ずかしさのあまり両手で顔を覆う。
キッドが起きないうちに、逃げるようにその場を離れた。
眠っている相手にこんな調子で
面と向かって告白なんて、本当にできるんだろうか。
部屋に戻って水着に着替え、海へ降りようと甲板へ戻ると、キッドの姿はなくなっていた。
「おお!ミドリ!お前も来たのか!」
「ヒュー!目の保養だな!」
「からかわないでよ!」
海へ下りて、皆と遊ぶ。
悩みを忘れさせてくれるひと時だった。
ーーーーーー
その日の夕暮れ時
キッドはたったひとりで、十分な食糧を確保して戻ってきた。
ただのいつものせっかちなんだろうけど
まるで少しでも早くここを出て、私を船から下ろしたいと言われているようで
その行動に胸がちくんと痛んだ。
私はキラーにエターナルポースを渡し
明日の朝、ここを出るとクルーの皆にも告げられた。