第一章
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頭にズキンと痛みが走って目を覚ます。
長い眠りから覚めたように
まぶたは重く、なかなか開かなかった。
目の前には天井。ライトが眩しい。
ベッドに寝かされている。
私、助かった…?
覚えているのはクルーズ船で海の上にいて
突然大きな嵐に襲われて
自分の乗っている大きな船が見るも無残に沈んでいくのを、ただ待つことしかできなかった。
命の終わりを確かに感じた。
救命ボートを見つけて
このまま死ぬよりも、奇跡が起こることを願って
その小さなボートで必死に海へ出た。
でもあんな嵐を超えられるわけがなく
今度こそ本当に命を諦めた。
はずだったのに。
「起きたかよ。」
横から聞こえた声の方を向くと
なんとも派手な出で立ちの男が座っている。
「誰っ……」
思わず起き上がる。
と、その男は椅子から立ち上がった。
「お前の命の恩人だ。元気そうだな。来い。ちょうど飯の時間だ。」
「え……?」
私が唖然としていると
痺れを切らしたように男はイラついた。
「飯いらねェのか。俺が来いと言ったらすぐに来い。それとも立てねェのか?」
「大丈夫です!行きます!」
この人が何者なのかも、ここがどこなのかも
状況が何もわからないけど
とりあえず言うことを聞いておいた方が良さそうだ。
私はまだうまく動かない体をなんとか動かして、男に必死でついていく。
男の少し後ろを歩きながら、その大きさに圧倒される。
2mは超えてるんじゃないだろうか。
真っ赤な髪を逆立てて、ゴーグルをおでこに付けて、眉毛はなし。唇は髪と同じ真っ赤に塗ってある。指にはマニュキア。上半身は裸。
この男、どう考えても普通じゃない!
「何見てやがる。」
「すみません…」
私の視線に気付いたのかギロリと睨まれた。
怖い。
そして歩きながら、床が少し揺れているのに気付いた。
どうやらここは船の上みたい。
やっぱり私は海で遭難して、この船に助けられたんだろうか。
男に連れられて入った部屋は
ダイニングのようにテーブルと椅子が並び、奥にはキッチンがある。
10人くらいの男たちが食事をとっていた。
「てめェら!俺を差し置いて先に食ってやがったな!!」
男が大きな声を出すと全員がこちらを向き
私は注目を集めた。
「頭ァ!その子連れてきちゃったんですか!?まだ寝かせておかないと!!」
「あぁ?てめェが起きたら飯食わせろって言ったんだろ!」
「言ったけど…」
「……頭?」
「あぁ。俺がこの船の船長だ。」
「船長って……まさかあなたたち海賊?ここは海賊船?」
「そうだ。」
まさか、私海賊に拾われちゃったの?
急に胸いっぱいに恐怖が広がる。
確かによく見ると皆、顔や体に傷を負っていたり、人相は悪いし、見るからに凶悪そうな男たちばかり。
助けてもらったみたいだけど
海賊なんて、危ないやつらに決まってる。
私は入ってきたドアとは反対にある奥のドアの小窓から外が見えるのを見つけて
そこへ向かって走った。
「おい!助けられといて逃げる気かよ!」
「待て!キッド!」