第六章
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辺りはすっかり夜になり
クルーたちは楽しそうに騒いで踊ったり
調子に乗って海に入ったりと
すっかり酔っ払いのテンションになっている。
私はといえば
出されたジョッキのお酒を
いつの間にか飲み干していた。
キッドのそばにいたい。
でもそれは許されない。
お酒のせいか、だんだんとボーッとしてくる頭で同じ言葉がぐるぐる回る。
頭の中だけでは収集がつかなくなり
涙となって流れ始めた。
「うっ……グスッ……」
私の異変に気付いたのか
隣で静かに飲んでいたキッドが
私の顔を覗き込んで焦り出す。
「なっ…なんだてめェ!泣いてんのか!?」
「うぅ……」
「何泣いてんだよ!やめろっ!俺が泣かしたみたいだろ!」
そんなこと言われたって自分でも意味わからないし、どうすることもできない。
涙は次々と溢れてくる。
幸い他のクルーたちは馬鹿騒ぎしていて気付いていない。
「お前泣き上戸かよ。1杯しか飲んでねェくせに。」
勘弁しろ、と言いながら、キッドは今までにないくらい嫌そうな顔をした。
「何で泣いてんのかくらい教えろ。」
それでも見捨てずにそばにいてくれるキッドに、さらに涙を誘われる。
「…っわかんない……寂しいっ……」
あまり回らない頭で精一杯考えて
私の素直な気持ちを答えた。
「……てめェもう寝てろっ。」
キッドは私の頭に手を回して引き寄せると
そのまま自分の右膝の上へと押し付けた。
乱暴。痛い。太もも硬い。
涙は止まらなかったけど
触れ合っている温もりにだんだんと眠気が襲ってくる。
薄れていく意識の中で
最後にキッドに文句を言ってやろうと思った。
よくわかんないけど、この涙はあんたのせいだ。
「ど、して……」
「あ?」
「どうして、キスなんてしたのよぉ……」
そのまま意識を手放すように
私は眠りについた。