第六章
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
陽も傾きはじめた頃。
丸太を切ったものや、大きな岩を運んできて椅子代わりにし、バーベキューが始まった。
「うめェ!!」
「本当だ!すっげェうめェな!!」
「さすがミドリだ!!」
「私はただ串に刺して焼いただけだよ。」
置いたそばから次々となくなっていくお肉を忙しく焼きながら皆と話す。
楽しいひとときだった。
「いやお世辞抜きにうまいぜ!」
「このミドリの飯がもうすぐ食えなくなるのか〜」
「残念だよな〜」
仲間たちがわざと大きな声でキッドに聞かせるように話しているのがなんだかおかしくて笑ってしまう。
それに、必要としてくれることが嬉しい。
「あ?んなこと言ったって俺の気は変わらねェぞ。」
キッドがお肉を頬張りながら答えると
クルーたちはブーブーと小さな声で文句を言っていた。
「代わろう。ミドリも座って食べろ。」
「いいの?ありがとう。」
キラーが来てくれたので甘えさせてもらうことにした。
辺りを見回すけど、キラーが座っていたキッドの隣しか席がなかったので、少し気が引けたけど、そこに腰を下ろす。
キッドは特に気にもとめずにお酒を飲んでいた。
「ミドリも飲め!」
クルーのひとりが私の前にジョッキを置いてくれた。
「え?お酒?」
「たまにはいいじゃねェか!」
「……じゃあ一杯だけ。」
お酒を飲むのは初めてだった。
特に興味もなかったし、普段は手を出したりしないけど、なんとなくハメを外したい気分になったから。
「……あんまり美味しくない。」
「馬鹿野郎。お子様にはもったいねェ酒だぞ。」
「ありがたくいただきます。」
言葉とは裏腹に、キッドは満足そうに口角を上げていた。
おかしいな。
私、さっきまでキッドのこと避けてたはずなのに
今はこうして隣に座って同じお酒を飲んで
特に話が盛り上がるわけではないけど
居心地がいい。
夕陽に照らされるその横顔に
悔しいけど胸が高鳴ったりして。
バレないようにこっそりと、何度も盗み見る。
そして、本当に悔しいけれど
やっぱりこいつが好きなんだと自覚する。
自分の島へ帰ることも
婚約者のことも
両親のことも
全てを忘れることができたら
ずっとキッドのそばにいられるのだろうか。
でも、先ほどのキッドの言い方だと
戦えもしない私をいつまでも船に乗せておく気はなさそうだ。
やっぱり私には、自分の島へ帰る他
選択肢はないんだろう。
なんだかだんだん悲しくなってきた。