第六章
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キッドとは距離をおいた方が良さそうだ。
そう考えた私は、なるべく船内でキッドに会わないように生活をした。
幸いあの男の足音は誰よりも大きくて
近付いてくるとすぐにわかったので
顔を合わさずにコソコソとその場を離れることができた。
食事時に皆が集まる時以外は
キッドの顔を見ることはなくなった。
そうやって3日ほど過ごした時
見張りをしていた船員が声を上げた。
「島が見えたぞー!!」
たまたま甲板にいた私。
声を聞いた仲間たちがドタドタと甲板へ集まってくる。
船を進めると甲板からも次の島が確認できた。
今、自分の島に帰れれば
キッドのことはきっぱり忘れられる!
そう期待していたけど
目の前に現れたその島は、どう見ても私の村がある島ではなかった。
エターナルポースの指針とも少しズレてるし。
ため息をつくと
頭の上から声が降ってきた。
「残念だったな。」
意地悪な笑みを浮かべたキッドが
後ろに立っていた。
胸が高鳴る。
ダメダメ。
平常心を装って、さりげなくキッドから離れよう。
「いいの。次の島に期待する。」
言いながらその場を離れる。
キッドは素っ気ない私を変に思っただろうか。
気になったけど振り返るのを我慢して
私は逃げるように、甲板から続くダイニングへ入った。
ドアから一番近くのテーブルに着いて、ため息を吐く。
こんな調子で本当にキッドを忘れられるんだろうか。
その時。
勢いよくドアが開いたかと思うと
ヤツが入ってきた。
ドスドスとこちらに近づいてきて
私の正面の椅子にドカっと座った。
顔が怒ってる。
「おい。」
「なぁに?」
「てめェ俺のこと避けてるだろ。」
いきなり図星を突かれ、内心焦りながらも平然を装う。
「何それ。意味わかんない。」
「ここ2、3日顔を合わさねェと思ってた。まぁたいして気にしちゃいなかったが、飯の時も目も合わせようともしねェしよ。」
「そうだった?」
「とぼけてんじゃねェ。さっきのお前の態度で確信したよ。」
「とぼけてないし、気のせいだよ。」
「だったら俺の顔をちゃんと見ろよ。」
下を向いて話していたら
顎に手を伸ばされて無理やり上を向かされる。
目の前にキッドの顔。
なんだか久しぶりに見た気がして
私は一気に顔が熱くなるのを感じた。