第五章
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ドラッグストアはすぐに見つかった。
私は昨日、端から端まで一通り見たと思っていた大通りにはまだ先があって、そこに大きなお店があったのだ。
シャンプーにコンディショナー、ボディクリームに化粧品類。次々とカゴに入れていく。
キッドが他に気を取られている隙に
生理用品も多めにカゴに入れ、会計を済ませた。
「女は色々物入りだな。」
「そうだよ。あと何日お世話になるかわからないし、多めに必要なんだよ。」
たくさん買って重くなった袋を持ち上げると
横から軽々と奪われる。
…やっぱり優しい。
いつものキッドなら、こんなの自分で持てと言うだろう。
キッドはそのままお店を出て、空を見上げた。
「さっさと帰るぞ。雨が降りそうだ。」
私も空を見る。
確かに、灰色の雲が空を覆ってきていた。
足早に歩くキッドの後ろを必死でついていく。
商店街を抜けたところで
パラパラと雨が降ってきた。
雷まで鳴り響き、それを合図にしたかのように、急に雨脚が強くなる。
「クソ。降ってきやがったな。」
「ごめんね、私の買い物が遅いから…」
「ちったぁ気を使うようになったじゃねェか。」
2人してずぶ濡れになりつつあるというのに
楽しそうに悪態を吐くキッド。
港へ続く岩場まで来た。
雨はまさに土砂降り。
キッドが岩場で窪んでいる場所を見つけてそこに入ったので、私も隣に入る。
2人が立つのにちょうど良い広さの窪みだった。
ここなら雨にも濡れない。
「向こうの空は晴れてきてる。すぐ止むだろ。」
西の空を見ながら言うキッドを見上げると
雨で濡れた髪が、昨日のお風呂あがりのように
またぺしゃんこになっていた。
毛先から水が滴っている。
それに加え、濡れた上着を脱ぐもんだから
鍛えられた上半身が露わになり
私は急いで目を逸らした。
持っていたハンドタオルを鞄から出し
キッドの頭へと目一杯手を伸ばす。
「自慢の髪型が台無しだね。」
言いながら髪を拭いてあげると
キッドも拭きやすいようにと頭を下げる。
見上げる私に、見下ろすキッド。
自然と視線が交わる。
鼓動が速くなる。
私が耐え切れず目を逸らすと
キッドはプッと噴き出すように笑った。
「お前の方がびしょ濡れじゃねェか。」
私の手からタオルを奪い
それで私の髪をわしゃわしゃと拭く。
とても乱暴。
頭がグラグラする。
それよりも、目の前にはキッドの上半身。
密着してはいないものの、両手で頭を抱えられ、抱き締められているような体制。
また顔が熱くなる。
赤くなってるかもしれない。
それを隠すように、今度は私がキッドからタオルを奪い返し、そのまま下を向いて自分で髪を拭いた。
「自分で拭けるよ。」
「……おう。そうかよ。」