第三章
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第三章
島を出て一日が過ぎた。
あれから特に大きな問題はなく
順調に船を進めている。
私は朝から大量の洗濯物との戦いだった。
ひたすら洗って、甲板に干し
乾いたものから取り込んで次を干す。その繰り返し。
こんなに多くの男たちの下着を洗ったのは初めてだ。
「大変そうだな。手伝おうか。」
最後の洗濯物を干していると
キラーが来てくれた。
「ありがとう。島にいる間あまり天気がよくなかったから溜めちゃってて。」
「俺たちだけだと着る服がなくなるまで誰もやらないからな。助かるよ。」
こんな私でも少しは役に立てているんだと思うと嬉しくなる。
洗濯を終えて、夕食は何にしようかと食料庫を開ける。
「………ヤバイ……」
食料庫の中はほぼ空っぽ。
この船へ来て4日目。
私はあまり配分を考えずに料理に使ってしまっていたんだ。
仕方なく、大量にある小麦粉でたくさんのパンを焼いた。
これだけじゃ文句を言われてしまいそうだけど、素直に謝るしかない。
ーーーーーー
「ごめんなさい。実はもう食料がほとんどなくて……」
テーブルに積み上げられたパンを前に
深々と頭を下げる。
「確かにミドリが来てから飯が豪華だと思ってたぜ。」
「まぁ仕方ない。パンがあるだけまだマシだぜ。」
「ちと我慢すればすぐ次の島に着くだろ。」
皆口々に、落ち込む私を励ましてくれる。
そんな中…
「てめェはペース配分てもんを知らねェのか。」
やっぱりこの男は文句を忘れない。
「おっしゃる通りです。」
悔しいが、今回はキッドの言う通りだ。
私がうかつだった。
そのせいで皆に空腹で辛い思いをさせてしまうんだから、怒られても仕方ない。
「ミドリは長旅に慣れてないんだ。俺たちがちゃんと教えておかなかったのがいけないだろ。」
あぁ、キラー様はいつも優しい。
「ちょっと考えればわかることだ。次の島にもいつ着くかわからねェんだ。下手したら全員このまま餓死だぞ。」
「そうなる前に俺が海王類でも捕まえてきてやる。いいから黙って出されたもんを食べろ。」
キッドは舌打ちしながらテーブルに着き
パンを頬張った。
餓死。
そんなこと考えもしなかったけど、本当にこのままではそうなってもおかしくない。
海の怖さは、天災だけではないんだ。
当たり前のことに今更気付かされる。
無知な自分が恥ずかしくもなった。
そしてすぐに私は
もう一つ、海の恐ろしさを知ることになる。