〜プロローグ〜





私は偉大なる航路（グランドライン）にある島の小さな村に生まれた。

優しい父と母に育てられて
何不自由なく暮らしてきた。

村の風習で、女は16歳には親に婚約者を決められ、18歳で結婚をする。

私も例外ではなく、16歳の誕生日に父の知り合いの息子と婚約をした。

小さい頃からそうなることを教えられてきた私は
恋愛なんてする意味がなかったし、特にしたいとも思ってこなかった。

婚約者は少し年上で、真面目で優しくて
非の打ち所がない素敵な男性。

結婚すれば、幸せな毎日が待っているだろう。

ただ、18歳を目前にして考えた。
このまま両親に敷かれたレールの上を歩くだけの人生でいいのか…と。

結婚式を2ヶ月後に控えて、両親に反対されながらも、ほんの少しの刺激を求め、外海へ一人旅に出た。

もちろん一人旅も、海へ出るのも初めてだし、航海術なんてものを持ち合わせていない私は、クルーズ船のツアーを利用して近くのリゾート島へ向かった。

それだけでも私にとっては大冒険だ。

しかしそのクルーズ船は大きな嵐に見舞われ
大破することとなる。



そこから、今までの平凡な人生を覆すような


私にとって本当の大冒険が始まる。




そして、ひと夏にも満たない恋が




幕を開けようとしていた。