夜明けのキスを
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船を停めた岩場を抜けると、港町の外れに出た。
改めて見ると大きな街だ。
珍しくクロコダイルさんが、私が服などの日用品を買うのに付き合ってくれた。
最後に食料を買おうとしていたら
ふいにクロコダイルさんに言われる。
「今日はこのままホテルに泊まる。食いもんは明日にしておけ。」
「……え?」
「ダズには明日戻ると伝えてある。船は問題ない。」
「ホテルって……」
「何か問題あるか?」
「いえ!ないです!」
急に緊張が走る。
前に言われた言葉が頭を過ぎったから。
——次の島に着いたら覚悟しておけ。
顔が熱くなった。
少しでも大人っぽい下着を買っておくべきだったか、なんて余計なことを考えていると
裏通りにある大きなホテルに着いた。
「一部屋頼む。」
「ツインでよろしいですか?」
「いや、ダブルだ。なるべくいい部屋で。」
クロコダイルさんが慣れたようにチェックインを済ませ、私は緊張を隠せないまま、部屋まで彼の後をついていった。
身体を売って生活していた頃
男の人に連れられて様々なホテルへ行った。
慣れているはずなのに
好きな人と来るのは初めてで
経験したことのない緊張に包まれる。
「そんなすぐに取って食いやしない。とりあえず食事だ。」
部屋に着いて2人になるなり
私の緊張を感じ取ったのか
クロコダイルさんは頭をポンポンと軽く撫でてくれた。
「は、はい!そうですね!そうしましょう!」
ルームサービスなんて初めてだ。
クロコダイルさんも終始機嫌が良さそうで
お酒を飲み、食事を楽しみながら
長い船旅はどうだ、だの
操舵はできるようになったか、だの
ダズとの稽古は続いているのか、だの
いろいろな話を振ってくれた。
こんなふうにゆっくりと2人で話をしたのは
初めてかもしれない。
私の緊張はすっかりほぐれ
話に夢中になっているうちに
夜が更け、日付が変わろうとしている。
「先にシャワー浴びてこい。」
クロコダイルさんは葉巻を手に立ち上がると
ベランダへ出た。
私に緊張が舞い戻る。