夜明けのキスを
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船での暮らしはとても充実していた。
食事の準備、洗濯に船内の掃除はもちろん
医学の勉強も続けながら、時間を見つけては航海術や操舵の仕方も教えてもらっている。
部屋はクロコダイルさんの部屋の隣に
自室をもらった。
恋人になったとはいっても
クロコダイルさんはいつも調べ物で忙しそうだし
私もやる事がたくさんあるから
2人の時間を作ることができないでいた。
時々2人きりになった時に
キスをしてくれる程度で、体の繋がりはまだない。
こんな船の上だし、ダズさんの目もあるし
仕方ないといえば仕方ないけど
正直少し寂しい。
その気持ちは特に夜になると止まらなくなる。
夜はいつも錨を下ろして停泊していた。
その間の見張りは
夕食後からクロコダイルさん
深夜からダズさん、明け方から私、と
交代でやっている。
寂しくなると、時々クロコダイルさんの見張り中に隣の部屋へ行き、ベッドに少しだけ横になる、ということをしている私。
この日も例外ではなく、こっそりと隣の部屋のドアを開ける。
いつもきちんと整理整頓されている部屋。
ベッドに横になる。
クロコダイルさんの香りに包まれて
寂しかった心が癒されていく。
でもこれだけじゃ、本当は物足りない。
私はもっと2人の時間が欲しくて
今すぐにでも抱いて欲しいくらいなのに
クロコダイルさんはいつも何も思っていなさそうで
恋人になったはずなのに
まだまだ私の片思いが続いているみたい。
「今日はこのまま寝ちゃえ……」
なんとなくイタズラ心が芽生えて
クロコダイルさんにも、私を意識してほしくて
そのままクロコダイルさんのベッドで眠ることにした。
ーーーーーー
「部屋を間違えてるぞ。」
低い声が部屋に響いて、私は目を覚ました。
本当に爆睡してしまった。
目の前には大好きな人。
お風呂あがりのようで
前髪は乱れ、素肌にガウンを羽織っただけの姿に
私の方が欲情しそうになる。
「……寂しくなっちゃったんです。」
素直に甘える。
クロコダイルさんは、ベッドの隅に座ると
葉巻に火をつけた。
「前からしてるだろ。時々お前の髪を拾う。」
「……ごめんなさい…」
「怒ってるわけじゃねェ。好きにしたらいい。」
葉巻をゆっくり吸って
フーっと煙を吐く。
後で部屋に戻れと言われるだろう。
そう覚悟しながら、今だけは、と
横になったままこっそり横顔を見つめていた。