夜明けのキスを
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クロコダイルさんとダズさんと共に海へ出て
1ヶ月が過ぎた。
嵐などの荒天、海賊からの敵襲
見たこともないほど大きくて凶暴な生物の出現
問題が起きるたびに2人がいつも冷静に対処をしてくれて、私はといったら
足を引っ張らないようにするだけで精一杯。
1ヶ月がとても長く感じられて
3人で暮らしたあのアジトが懐かしい。
島を3つ超え
今は新しく拠点にする島を見つけるべく
新世界の海を進んでいる。
〜夜明けのキスを〜
「お願いします!ダズさん!」
「やらねェ。」
「少しくらい良いじゃないですか!」
「面倒だ。」
朝食を終え
甲板でダズさんと言い合いをしていれば
クロコダイルさんが部屋から出てくる。
「何を騒いでる。」
「ミドリのやつが戦い方を教えろってうるせェんです。」
「いざというとき、自分の身くらい自分で守れないと……2人の足手まといになりたくないんです。」
「護身術か。面白ェ。それくらい教えてやれ。」
「あんたの女でしょう。」
「そうだ。優しくしてやってくれ。頼む。」
クロコダイルさんはドカッと椅子に座ると
新聞を広げる。
だったらボスが教えてやればいいだろう、とダズさんが小さな声で文句を言ったのを
私は聞き逃さなかった。
でもクロコダイルさんの頼みに、この人は弱い。
「生ハム買ってあるんですよ。今日の夕食に出しますから。」
「……面倒臭ェな…」
ダズさんは舌打ちをしながらも
その気になってくれたようだ。
新聞を読むクロコダイルさんの前で
おもむろに稽古が始まった。
「敵の動きを読め。こう来たら…」
「こうですね!」
「違う。」
「こうですか?」
「違う。」
「じゃ、こうだ!」
「全然違う。」
「難しい…」
私たちのやりとりを見てクロコダイルさんは楽しそうに笑った。
今日は機嫌がいいみたいだ。
「ボス、この女センスのかけらもねェ。」
「ダズさんの教え方が雑なんです!」
「クハハハハ。まぁいい暇つぶしじゃねェか。」
こんな調子で
私は毎日この船で楽しく過ごしている。
大好きなクロコダイルさんと
なんだかんだ優しいダズさんと。
まさか自分が海賊になるとは思いもしなかったし
まだあまり自覚も湧いてこないけど。
こうやって毎日命を張って生きている彼らは
本当に自由で、誇り高くて
私には眩しすぎる存在。
そんな2人に恥じぬよう
精一杯生きていくと決めた。