陽のあたる場所へ 〜side story〜
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夕食後、船へ積み込みをする。
ミドリも覚悟を決めたようで
もう不安を口にすることはなかった。
ふと、林の方に人の気配を感じる。
「どうしました?」
「……誰かいるな…」
「怖いこと言わないでくださいよ。」
「確かに視線を感じる。見てきます。」
ダズが確認に行ったが
逃げられた、とすぐに戻ってきた。
嫌な感じだ。
ミドリを探す奴らに見つかったか。
積み込みを終え、ダズと航路について確認する。
ミドリもずっと隣にいたが、いつの間にかテーブルで眠っていた。
ベッドで寝りゃいいものを。
髪をそっと撫でてやる。
その様子を見て、ダズに言われる。
「……あんた達、なかなかお似合いですぜ。」
こいつはいつも、何でもお見通しだ。
「……こんな歳してみっともねぇと思ってるか。」
「そんなことねぇです。」
「お前には苦労をかけるな。」
「ペットが1匹増えたようなもんでしょ。そのくらい何でもねぇ。」
「クハハハ。そうだな。」
ーーーーーー
ダズと交代で仮眠を取り、
夜が明ける頃、船で出航の準備をしていると
アジトの方から何やら声が聞こえる。
「嫌ですってば!離して!」
ミドリの声だ。
外に出るとミドリが何人かの男たちに囲まれていた。
考える前に体が動き、砂になってその場へ行く。
「うちの奴に何か用か?」
「来たな、クロコダイル。彼女を引き取りたい。1000万ベリー払おう。どうかな?」
市長の野郎がトランクを差し出してくる。
ミドリを金で買い取ろうってのか。
胸糞悪い。
「金の問題じゃねえ。この女を手放す気はない。わかったら息子を連れて帰れ。」
「お前たちは時々街で暴れる海賊達を追い払ってくれていたな。だから今まで、お前たちが街をうろつこうと見逃していたが……彼女を譲らないと言うのならこちらにも手はある。コムズ。」
「悪いなミドリ。」
「いたっ……!」
「彼女を傷付けられたくなきゃ動くな。」
息子がミドリの両腕を押さえつけ
ナイフを顔に向ける。
ずいぶん手荒なことしやがる。
俺とダズはおとなしく部下に手錠をかけられた。
「……海楼石か…」
「海軍もすでに呼んである。もう時期着く頃だろう。彼女はもらっていく。」
「痛い!離してってば!」
息子に手を引かれるミドリ。
そのまま連れていく気か。
怒りで血管が浮き出るのが自分でもわかった。
この状況は何ら問題ないが
海軍に来られたら厄介だ。
「ずいぶん舐められたもんだな、ダズ。こんなもんで俺たちを抑えた気でいるらしい。」
「全くだ。」
「周りの奴らをやれ。俺はミドリだ。」
「へい。」
ダズがその場の全員を蹴り倒し
俺は息子のナイフを持つ手を蹴り上げる。
「いてぇ!!」
「こんな物騒なもんをこいつに向けるんじゃねえ。」
ミドリを抱き抱え、もう一度蹴りを入れると、いとも簡単に倒れた息子が俺を睨む。
「くっ……まさかお前のようなオッサンが、その子に惚れてるわけじゃないよな……」
オッサンで悪かったな。
「だったら何だってんだ。お前のような青二才にはこいつは勿体ねえ。」
そのまま気を失った。
こんなロクでもねえ男に
ミドリは譲れねぇ。
「あの…もう大丈夫なんで下ろしてください……」
「あぁ。」
「2人とも……本当に強いんですね…」
「こんな奴ら相手なら力が出なくても足が使えりゃ十分だ。こいつら海賊を舐めすぎだ。」
「ミドリ、鍵だ。開けてくれ。」
「はい!」
海軍が来る前に俺たちは船を出し、そのまま出航した。