陽のあたる場所へ 〜side story〜
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ミドリと話さなくなって数日が経った。
その間ダズと何回か話し合って
今後の方針を決めていた。
そろそろ拠点にする島を変えるか、
もう少しここに留まるか。
この近辺では多くの海賊や海兵が行き交い
金も情報もよく手に入ることから
もう少しここにいることになった。
そして俺の中ではひとつの答えが出ていた。
ミドリのことだ。
数日間顔を合わせてもほとんど会話もなく
避けられている状態でいる中、気付いた。
俺にはやはりミドリが必要だ。
もし島を離れることになって
ミドリが平穏な暮らしよりも俺と来ることを選んだら
その時は全身全霊をかけてミドリを幸せにしようと。
あいつがまだ俺を好いていてくれるなら
俺もそれに応えようと。
ーーーーーー
「クロコダイルさん!」
自室で事務仕事をしていると
突然ドアが開き、ミドリが飛び込んでくる。
「おい、ノックをしろと言ったのはお前だろミドリ。」
「ごめんなさいっ!」
急に抱き付いてきて
こいつはまた簡単に俺の心を乱してくる。
「ずいぶん反省したようだな。」
「さっき街であの店員さんと会って、全部聞きました。」
「……そうか。」
「勝手に勘違いして怒ったりして、ごめんなさい。」
「俺はそんな小さなことでは怒らねぇがミドリ、もう二度と自分を捨てたらいいなんて言い方はするな。」
「はい…ごめんなさい……そばにいたいです。」
素直に謝り、顔を埋めてくるミドリを
力の限りで抱き締めたくなる気持ちを抑えて
背中をさする。
そうしてると、恥ずかしくなったのか急に離れてしまい、行き場をなくした俺の右手は仕方なく葉巻へと伸ばす。
「あの店員さんが言ってました。私が来てからクロコダイルさんが会ってくれなくなったって…私のせいだって……」
「……余計なことを…」
「なぜ会わなかったんですか?私と…何か関係があるんですか?」
「ミドリ、初めてここに来た日、俺の前で脱いで誘ってきたな。」
「あの時は…買われた男の人にはそうするように教え込まれていたから……」
「あの時、震えていたのを知ってるか?」
「…私がですか?」
「そうだ。体も声も震えていた。お前はそういうことには慣れてると言っていたが、心の底では嫌で嫌で仕方なかったんだろう。当たり前だ。若干二十歳の娘が、男どもから好きにされて平気でいられるものか。」
「………。」
「だから、俺ももう平気でそういうことはしたくねぇと思ったんだ。たとえお前が知らないところでだとしてもな。」
たまらなくなり、ミドリの頬に手を伸ばす。
「お前に嫌われたくないんだ。」
「……どうしてそこまで、私に優しくしてくれるんですか…?」
「……お前が、俺の特別なんだろうな。」
鉤爪で顎を支え、俺の方を向かせる。
ここまで言えば、鈍感なこの女も
俺の気持ちに気付いたか。
それとも、このまま口付けでもしちまうか。