陽のあたる場所へ 〜side story〜
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次の日。
ミドリの様子がおかしい。
朝食のときも一言も喋らず、その後も部屋にこもったきりで、明らかに機嫌が悪い。
「今日のミドリはやけに機嫌が悪いようだな。静かでいいが。」
「……クロコダイルさん、実は昨日の夜、ミドリのやつ、ボスがどこへ行ったか気になるって、街へついて行ったんです。そこでボスが女と会ってるのを見ちまって…」
「……なるほどな。あの態度の理由は俺か。」
「すみません。止めたんですが、あの女強情なんで…」
「いや、気にするな。ちゃんと向き合わねぇ俺が悪いんだ。」
完全に嫉妬だな。
可愛いことしやがる。
どうフォローするか。
とりあえず話をしないことには、あいつの腹の虫はおさまらないだろう。
「入るぞ。」
「ちゃんとノックしてくださいよ。」
ドアを開けると、顔も合わせようとしないミドリ。
ここまで怒ってるのは初めて見る。
原因が俺にあるのはわかるが、なぜか嬉しくなった。
「クハハハハ!絵に描いたような不機嫌だなミドリ。」
何がそんなにおかしいのか、
とでも言いたそうな顔で頬を膨らます。
「何か用事ですか?」
「話をしに来た。機嫌が悪いのはわかったが、とりあえずこっちを向け。」
ミドリは仕方なさそうに椅子ごと俺の方を向く。
「昨日、俺のことをつけてきたらしいな。全く気付かなかったが。」
「ごめんなさい。いけないことをしたのはわかっています。夜の街へ行ったことも反省しています。でも…どうしても気になってしまって……」
「謝らなくていい。俺は別にやましいことはやっちゃいねぇ。」
「知りませんでした…クロコダイルさんに特別な人がいたなんて。」
「……てめぇはなぜそう俺から何も聞かずに決め付ける。俺がいつあの女を特別だと言った。」
「……言われなくても…一緒にホテルに入っていくところを見れば誰でもわかります。」
「……もしそうだとしても、お前に文句を言われる筋合いはねぇな。」
「………。」
気になるならあの女との関係を
素直に俺に聞けばいい。
変に詮索し、妄想し、決めつけ
だんだんと可愛げのなくなってくるミドリの物言いに、俺も大人げなく腹が立ってくる。
「そんなことわかってますけど、でも、私だってヤキモチくらい焼きます。」
「本当にお前は手のかかる女だ。」
「……どうせクロコダイルさんは私みたいな小娘より、あの店員さんやロビンさんのような、大人で落ち着いた女性の方が良いんですね。よくわかりました。」
「………。」
「こんな手のかかる私なんて、そこらへんに捨てればいいんです。」
「いつになく可愛げのねぇ言い方だなミドリ。」
「………。」
「いつまでもヘソ曲げてるなら俺から話すことはもう何もねぇ。勝手に拗ねてろ。」
自分の半分も生きてきていない小娘相手に
さすがに大人げなかったか…
「捨てればいい」なんて考えは気に食わねぇが、俺にも悪い部分はある。
詫びの気持ちも込めて、一度だけ頭を撫でてやり、そのまま部屋を出た。