陽のあたる場所へ 〜side story〜
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久しぶりに外食をして
買い出しのため、ミドリと街を歩く。
こいつとこうして2人で歩くのは
初めてこの島に連れてきたとき以来だ。
「2人で街を歩くのは久しぶりですね。クロコダイルさんと初めて会った日以来です。」
俺の考えていたことが読まれたのか、と一瞬焦る。
「いちいち覚えちゃいねぇな。」
「服をたくさん買ってくれた時ですよ?」
「お前の格好が見るに耐えなかったからな。」
「もうすぐ3ヶ月ですね。早いな〜。」
あの時は俺の一歩後ろをビクビクしながらついてきていたが、今じゃ嬉しそうに隣を歩いてやがる。
この3ヶ月で本当にこの女は変わった。
そして俺も変わっただろう。
まさかこの女が俺にとってこんなに大きな存在になるとは。
寝る前にずっと考えていた。
俺の気持ちを伝えて、ミドリを俺のもんにしてしまえれば、どんなにいいものか。
だがそうなると、俺が島を出るときには一緒についてくるだろう。明日があるかもわからない海へだ。命の保証はない。
せっかく奴隷から解放されて自由になった身だ。こいつの人生これからって時に、俺の勝手な気持ちの押し付けで縛りつけたくはない。
ただ、そう思えば思うほど
ミドリが欲しくてたまらなくなる。
これまで女には特に不自由してこなかった。
どうでもいい相手なら、簡単に抱ける。
だが今、本当に抱きたい相手は
抱くことはできねぇ。
思春期のガキのように悶々として
情けねぇことに昨日はよく眠れなかった。
「クロコダイル様、こんにちは。」
このタイミングで、面倒な女に会っちまった。
「……おい、街中ではあまり声をかけるな。」
「そうでしたね。失礼いたしました。」
服屋の店員だ。
名前はレイナ。この島に来て声をかけられて何度か体の関係を持った。
いい女だが、俺にとって“どうでもいい相手“だ。
「今夜は抱いてもらえます?9時にいつもの所で待っています。」
ミドリに聞こえないように耳打ちしてくる。
「……あぁ、わかった。」
ミドリに挨拶するとそのまま去っていった。
気分が乗ったわけじゃない。
ただ、この溜まったモンをどこかに吐き出したかっただけだ。