陽のあたる場所へ 〜side story〜
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ダズの迎えの船に乗り
とりあえず俺のベッドに寝かせて
自分はその横の床に座った。
「……クロコダイルさんはいつも私を絶望から助け出してくれますね。」
「……偶然だ。」
「私…男の人から乱暴されるの…慣れたつもりでいました。いつもそうだったから。でも……この2ヶ月が幸せすぎて、忘れてました……」
「……俺が二度と思い出させねぇ。」
横にあるミドリの顔を見ることが出来なかった。
健気な言葉に目頭が熱くなる。
それを誤魔化すように葉巻に火をつけた。
ーーーーーー
アジトに戻り、奴らによって荒らされた倉庫を片付けている間
洗面所からはずっとシャワーの音が聞こえていた。
泣きながら体の隅々まで洗うミドリの姿が目に浮かぶ。
しばらくしてミドリが風呂から出てきて顔を出した。
「クロコダイルさん、手伝います。」
「いらねぇよ。疲れただろう。今日は食事の支度もいらない。何もせず寝てろ。」
「…ありがとうございます。」
無理やり作るその笑顔に
大丈夫だ。
お前は変わらず綺麗な女だ。
そう言いたくなったが、やめておく。
「これ、借りてもいいですか?」
俺のコートだ。
「………汚すんじゃねぇぞ。」
そう答えてやれば嬉しそうにそれを抱えて部屋へ戻った。
いつしか俺のコートは
ミドリの精神安定剤にでもなっていたんだろう。
人に自分のものを貸すのは基本的には好きじゃねぇんだが
ミドリ相手だとどうも断れない。
そのコートが少しでもお前の癒しになるならそれでいい。
ーーーーーー
夜、自室に戻ると雰囲気に少し違和感を感じる。
特に何かが変わっているわけではないが…
ふとベッドに目をやると
シーツに髪が1本落ちていた。
どう見ても俺のものより長い。
この家でこの長さの髪を持ってるのはミドリひとりだ。
「………ここで寝たのか?」
俺のいない間にミドリがここで?
まさかとは思うが、もしそうだとしたら…
自惚れかもしれねぇが
昼間のあの態度に
俺のコートを嬉しそうに持つ姿。
ミドリはまさかこんな歳の離れた俺を…
考えられなくもないが、普通はあり得ない想像をして、柄にもなく焦り、額を掻く。
そんなわけねぇ。
この髪の毛も偶然だ。
自分でそう言い聞かせて
その日は眠りについた。