最終章 〜船出〜
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朝日が海を照らして
水面がキラキラと輝いている。
ダズさんが舵を握る。
波も安定していて、船出日和だった。
私、本当に海に出たんだ…
確かに2年間奴隷だった海賊船でずっと航海はしていたけど、その時はほとんど部屋の中に閉じ込められていて
今は全く違う心情。
開放的で
気持ちが良くて
自由で
このままどこへでも行けそうな気になる。
そして隣には大好きな人がいる。
「私、本当に来ちゃったんですね……」
「これでお前も晴れて海賊の仲間入りだ。」
「あの…なるべく2人の足手まといにならないように頑張ります!よろしくお願いします!」
2人に向かって改めて頭を下げる。
「とりあえず飲みますか。」
「そうだな。いい船出だ。」
「こんな朝から?」
「おれたちの勝手だ。腹も減ってる。何か作れ。」
「はい、作ってきます。」
そういえば朝食もまだだった。
私は船内へ入って
まだ慣れない船のキッチンで支度を始める。
窓際で、あのてるてる坊主がこちらを向いて揺れていた。
この快晴も、きっとあの子のおかげ。
クロコダイルさんが入ってくる。
追加のお酒を取りに来たようで
私の後ろにしゃがんで下の棚を開けている。
私は先ほどのやりとりを思い出す。
——その子に惚れてるわけじゃないよな
——だったら何だってんだ
「……どうして否定しなかったんですか?」
「あ?急に何の話だ。」
「私に惚れてるって言われて……」
「なんだ、否定して欲しかったのか?」
「そうじゃないけど……期待してしまうじゃないですか。」
クロコダイルさんは目当てのお酒を見つけ出したようで、それを床に置くと
その横にドカッと座った。
「期待していいと言ったら?」
「え………」
私は振り返ってしゃがみ込み
クロコダイルさんの顔を正面から見上げる。
「……じゃあ…私に惚れてるってことでいいんですね?」
機嫌良さそうに微笑んだ。
「あァ。認めよう。」