最終章 〜船出〜
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何時間が経っただろう。
私は気付けばテーブルに突っ伏して眠っていたようだ。
起きると2人の姿がない。
窓の外を見るとうっすらと明るみがさしてきていた。
夜明けだ。
焦って立ち上がるとダズさんが入ってきた。
「起きていたか。クロコダイルさんはもう船だ。準備ができ次第ぼちぼち出航するぞ。」
「はい!」
ダズさんは最後の確認に来たようだった。
私は急に緊張が走って眠気が一気に吹き飛ぶ。
荷物は全て積んだから、身ひとつでアジトを飛び出し、船へ向かった。
「ミドリ!」
名前を呼ばれて振り返れば
林の方から男性が一人走ってきた。
「コムズさん……!?」
まさか…
本当に私を探していたんだ……
「ここにいるって聞いて…」
「あの…私もうこの島を出るんです。失礼します!」
「待って!」
逃げ出そうとしたけど、強い力で腕を掴まれる。
「離してください!」
「なるべく手荒なことはしたくない。俺と来てくれないか。」
「嫌ですってば!離して!」
「おお。君がコムズが夢中になってる娘か。なかなかの美人だ。」
後ろから男の人が何人かやってくる。
その中心にいる人物が、おそらく街の市長でコムズさんの父親。
「コムズがなかなか結婚を決めてくれなくてね。君となら、とやっとその気になってくれたんだ。一緒に来てもらおうか。次期市長の嫁だ。君にとっても悪い話ではないだろう?」
微笑んでいるけど、目が怖い。
「ごめんなさい…それはできません。私は——」
「うちの奴に何か用か?」
私の言葉を阻んで、クロコダイルさんが現れた。
その後ろにはダズさんも来てくれていた。
それだけで私は大きな安心感に包まれる。
「来たな、クロコダイル。彼女を引き取りたい。1000万払おう。どうかな?」
お金が入っているであろうトランクを手に
市長がクロコダイルさんの前に出る。
「1000万か…悪くねェ額だ……」
後ろでダズさんがボソッと呟いたので
私は口を尖らせて睨んだ。
「冗談だ。」
そんなやりとりを気にも留めず、クロコダイルさんと市長は話を続ける。
「金の問題じゃねェ。この女を手放す気はない。わかったら息子を連れて帰れ。」
「お前たちは時々街で暴れる海賊達を追い払ってくれていたな。だから今まで、お前たちが街をうろつこうと見逃していたが……彼女を譲らないと言うのならこちらにも手はある。コムズ。」
「悪いなミドリ。」
「いたっ……!」
コムズさんは片手で私の両腕を後ろ手に押さえつけると、もう片方の手でナイフ出す。
「彼女を傷付けられたくなきゃ動くな。」
市長の部下はクロコダイルさんとダズさんの手首に手錠をかけた。
「……海楼石か…」
「海軍もすでに呼んである。もう時期着く頃だろう。彼女はもらっていく。」