最終章 〜船出〜
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同時刻、林の中には不審に動きながら
小声で話をする男2人がいた。
「あの女だ。薬草売りのミドリ。暗くてよく見えないが…間違いないだろう。」
「戻って市長に報告だ。」
2人は昼間からミドリを探している市長の部下たちだった。
街から林の方へミドリが帰っていくのを見た、という証言を得て、わざわざ探しに来ていたのだ。
「ちょっと待て…誰かと一緒にいる。あの大男は……クロコダイルたちだ!」
「まさか……彼女は海賊の仲間だってのか?」
「わからねェが…船に荷物を積んでるようだ。まさかこのまま海へ出てしまうんじゃ…」
「逃げられたらまずいぞ!止めに入るか?」
「バカ!おれたちだけで海賊を相手にできるか!……おい、一人こちらに向かってくるぞ。」
「とにかく一度戻ってすぐに市長に報告だ!」
男たちは足早にその場を離れる。
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林を見に行ったダズさんは不満そうな顔をして戻ってきた。
「逃げられたようです。」
「嫌な感じだな。ここを嗅ぎつけられたか。」
「もしかして…私を探してる人たちですか?」
「間違いねェ。さっさと積み込みを終わらせるぞ。ミドリ、お前はおれたちの目の届く範囲にいろ。手荒なことはしてこねェと思うが、念のためだ。」
「はい。」
「夜明けと共に出発だ。ダズ。」
「了解。」
それから1時間ほどで積み込みを終え
このアジトでの最後の時間を過ごした。
テーブルやべッドなどの大きな家具はここにそのまま置いていくことになっていた。
クロコダイルさんとダズさんは地図を広げて航路について何やら相談している。
私は寝ていていいと言われたけど、そんな気分になれず、なんとなく2人とダイニングにいた。
3ヶ月ほどしか住まなかったけど、たくさんの思い出が残る場所だ。
もう帰ってくることはないと思うと少し寂しくなった。