第七章 〜決断〜
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その時、廊下で足音がして
左手は私から離れた。
トントン——
それと同時にドアがノックされる。
「ボス。おれです。」
「入れ。」
ダズさんは入ってくるなり、私がここにいることに少し驚いたようだった。
「ミドリ。ここにいたのか。」
「ダズさん。私たち仲直りしました。ご心配おかけしました。」
本当にダズさんには気まずい思いをさせてしまったので、頭を下げて謝っておいた。
「そら良かったな。それよりボス、面倒なことが。」
「何だ?」
「今、街の市長がミドリのことを探させているらしい。」
「私を?」
「どういうことだ?」
「市長の息子がミドリに惚れ込んでるようで。『薬草売りのミドリという娘を探している』と、街中の噂です。」
「息子?……もしかして……」
昼間に会った、コムズのことを思い出す。
「心当たりがあるのか?」
「あの…今日薬草を売りに行った時に声をかけてきた男性がいるんです。その人かも…」
「名前を教えたのか。」
ダズさんが呆れてため息を吐く。
「ごめんなさいっ!悪い人に見えなかったので……でもそれだけです!もう会うつもりもありません!」
「クハハハ!結構な大物に気に入られたなミドリ。市長の息子か。」
「笑ってる場合じゃねェですぜ。本気で探されたら、ここが見付かるのも時間の問題だ。俺たちと一緒だと知られたら…」
「まぁおれたちからミドリを奪おうと、まず海軍に通報されるだろうな。」
「そんな…私のせいで2人がっ……本当にごめんなさい!」
私は2人に向かってもう一度頭を下げた。
「気にするなミドリ。ダズとは話していたんだが、ボチボチこの島を離れようとは思っていた。その時期が少し早まっただけだ。」
「この島を?」
「もう少し情報を集めてからってことにしたでしょう。ほんとにこの女に甘いんだから、あなたは。」
「苦労かけるな、ダズ。」
「慣れましたんで。もう日が暮れる。奴らのミドリ捜索も今日のところは打ち切りでしょう。夜中に船を出すのは危険なんで、明日の朝ですかね。」
「そうだな。夜中のうちに荷物を積み込もう。夜逃げみてェで格好は悪いが。」
「格好なんて気にしてる場合じゃねェでしょ。」
こうなったのは私のせいでもあるのに
私が唖然としている間に
明日の朝に船を出すことが決まっていた。
「本当にごめんなさい……」
「ボスが気にするなと言ったろ。もういいからとりあえず夕食を作れ。腹減った。」
「はい!」
立ち上がり、早速キッチンへ向かう。
私が調理を始める頃
ダズさんは船に積む食料の買い出しへ、
クロコダイルさんは積荷の整理を始めた。