第七章 〜決断〜
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから2時間ほどで薬草を売り終え
アジトへ帰ろうと足早に歩いていると
後ろから呼び止められる。
「ちょっと、あなた!」
女の人の声。
立ち止まって振り返ると
あの服屋の店員さんだった。
今日はよく誰かに話しかけられるな。
「あ……あの、こんにちは。」
「会って話がしたかったの。あなた、いつまであの人の周りをうろちょろしてるのよ。」
いつも優しそうに笑ってくれていた人が
なんだか今は怒っているのか、別人のように怖い顔をしている。
「あの…あの人って?」
「クロコダイルさんよ!まさか恋人同士なの?」
「そんなわけないです!だってクロコダイルさんの恋人はあなたでしょう?」
「は?違うわ。私が一方的に彼に惚れてるだけ。」
……そうだったんだ…
私はてっきり、この人がクロコダイルさんの特別な人なんだと思ってた…
「でも…あの……この間2人でホテルに……」
「見てたの?趣味悪いわね。」
「すみません……」
「彼にはこれまで何度か抱いてもらってたの。私がどうしてもってお願いして。」
心がチクンとした。
やっぱりそういう関係だったんだ…
「でもお願いしても会ってもくれなくなった。店にあなたを連れてきた日からよ。」
「え……?」
「この間は久しぶりにホテルまで来てくれたけど…やっぱり気分が乗らないって何もせず部屋から出て行っちゃったの。」
「………」
「彼、『もうおれに関わるな』って。あんたのせいよ!あんたが来てから変わってしまった!」
私の肩を強く掴んで
大粒の涙を流している。
きっとこの人もクロコダイルさんが大好きなんだ。
「気まぐれでも、憂さ晴らしでも良かったのに…あんたのせいで、彼はもう私を抱いてくれない。早く彼の前から消えてよ!」
「すみません…それはできません。私もクロコダイルさんが大好きなんです。」
彼女の腕をとって肩から離すと
ギロっと鋭い目で睨まれる。
「あなたには譲れません。失礼します。」
頭を下げて、その場を立ち去った。
こんな小娘のせいで
好きな人が自分から離れてしまって
とても悲しくて、悔しくて、苦しいんだろう。
それでも私はこの気持ちを譲れない。