第六章 〜喧嘩〜
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「入るぞ。」
クロコダイルさんの声がしたかと思えば
ドアが開き、本人が入ってくる。
「ちゃんとノックしてくださいよ。」
私は勉強でもしようと、テーブルについたところだった。
「クハハハハ!絵に描いたような不機嫌だなミドリ。」
何がそんなにおかしいのか。
貴重なクロコダイルさんの笑顔。
こんな気持ちのときに見たくなかった。
「何か用事ですか?」
クロコダイルさんは私のベッドに腰掛ける。
「話をしに来た。機嫌が悪いのはわかったが、とりあえずこっちを向け。」
仕方なく私は椅子をくるりと半回転させて
クロコダイルさんを見る。
「昨日、おれのことをつけてきたらしいな。」
……あの刃物野郎め。
「全く気付かなかったが。」
「ごめんなさい。いけないことをしたのはわかっています。夜の街へ行ったことも反省しています。でも…どうしても気になってしまって……」
「謝らなくていい。おれは別にやましいことはやっちゃいねェ。」
女の人とホテルに入ったことは
この人にとってやましいことではないのか。
私が自分に惚れてるのをいいことに開き直っているのか。
「知りませんでした…クロコダイルさんに特別な人がいたなんて。」
「てめェはなぜおれから何も聞かずに決め付ける。おれがいつあの女を特別だと言った。」
「言われなくても…一緒にホテルに入っていくところを見れば誰でもわかります。」
「もしそうだとしても、お前に文句を言われる筋合いはねェな。」
「………」
確かにそうだ。
私はクロコダイルさんの恋人でも何でもない。
ただの同居人。
クロコダイルさんが誰とどこで何をしようと私には関係がない。
「そんなことわかってますけど、でも…私だってヤキモチくらい焼きます。」
「手のかかる女だ。」
「……どうせクロコダイルさんは私みたいな小娘より、あの店員さんやロビンさんのような、大人で落ち着いた女性の方が良いんですね。よくわかりました。」
「………」
「こんな手のかかる私なんて、そこらへんに捨てればいいんです。」
「いつになく可愛げのねェ言い方だなミドリ。」
「………」
「いつまでもヘソ曲げてるならおれから話すことはもう何もねェ。勝手に拗ねてろ。」
クロコダイルさんは立ち上がり
私の頭をガシッと一度撫で
部屋を出て行ってしまった。
あぁ…
本当に可愛くない言い方をしてしまった。
気にかけて話しに来てくれたのに
大好きな人なのに
命を助けてくれた人なのに
なんて態度を取ってしまったのだろう。
こんなままじゃ本当に捨てられてしまう。
後悔の波が押し寄せてきて
次から次へと涙が溢れ出す。
でも何て謝りに行ったらいいのかもわからない。
そのまま膝を抱えて泣くしかなかった。
恋ってとても難しい。