第一章 〜元奴隷の女〜
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第一章 〜元奴隷の女〜
2人の船に乗せられる。
砂の男は甲板の椅子にドカッと座った。
私はどうしたらいいのかわからず
とりあえず男の足元の床に座った。
…怒られない。
ということはこれで間違ってないんだ、と安心する。
私が捕まっていた海賊船ほど大きくはない船。
他に船員の姿はない。
この2人だけで旅をしているようだ。
船が動き出し、改めて2人を見る。
舵をきるのは坊主の男。
体格がよく、黒の上下スーツを着こなしている。
目付きが鋭く、右目には大きな傷。
この人が船を斬ったのだろうか?
見たところそれらしい刀や剣は持っていない。
視線に気付いたのか、ギロっと睨まれ
慌てて目を逸らす。
そして
その人にボスと呼ばれるこの砂の男。
黒髪をキレイにオールバックでまとめ
顔を真横に走る傷跡
そして左手は鉤爪。
いかにも悪いことをしてきた顔。
しかし、よく見ると服はきちんと着こなし
革靴もピカピカ。
指には高価そうな指輪が並び、耳にピアス。
私の周りにいた海賊たちとは格が違うのが
その雰囲気から見て取れた。
その横で
私はキャミソールにホットパンツ
壊れかけのサンダル。
なんというみすぼらしい格好だろう。
服はボロボロ。身体中アザと傷跡だらけ。
どこからどう見ても彼の奴隷だ。
せめていつも街へ行くときに着る
少しでもマシな服を着ておくんだった。
そんな今更言っても仕方ないことを考えていると
疲労と寝不足に加え、心地良い船の揺れに
一気に眠気が襲ってくる。
ーーーーーーーーーー
「……奴隷にするんですか?」
ダズは舵を握ったまま
座ってこくりこくりと居眠りをする
ミドリに目をやる。
「おれにそんな趣味があるように見えるか?」
「人助けをするようにも見えねェんで。」
「そりゃ間違いねェな。」
クハハハと上機嫌に笑うクロコダイル。
「気にするな。これはおれの気まぐれだ。気に入らなきゃすぐに売っぱらっちまう。」
「まァそれなりの金にはなるでしょうね。」
「だろ?」
ーーーーーーーーーー
「おい、女。起きろ。」
「…!は、はい!ごめんなさい!」
どうやら私は座ったまま寝てしまっていたようだ。
坊主の男に起こされ、慌てて立ち上がる。
島に到着したらしい。
「さっさと降りろ。クロコダイルさんについていけ。」
“クロコダイル”とそう呼ばれた砂の男は船を降りていた。
言われるがまま、私もその後ろをついていく。
「じゃあ、おれは街へ行ってくる。船をアジトへ頼むぞ。」
「了解した。」
坊主の男は船を出した。
砂の男が歩き出したので
私も後を追いかける。
このままこの島で売られるんだろうか…
それとも、2人がさっきから言っている
アジトに連れて行かれるんだろうか…
どっちにしたって私の人生
まさにお先真っ暗だ。