第六章 〜喧嘩〜
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夜の街は初めて。
治安があまりよくないから、夜には一人で街に来ないように言われていた。
いつも私が昼間に来る中心街は
飲み屋さん以外はほとんど閉まっていて、なんだか暗い。
こんな中クロコダイルさんを見つけられるだろうか…
「ボスがいるとしたら向こうだ。来い。」
いつの間にやら後を追ってきてくれていたダズさん。
なんだかんだ優しい。
私はダズさんの後をついていく。
「クロコダイルさんの行き先がわかるんですか?」
「前に一度見かけたことがあるだけだ。お前ここまで来たなら覚悟しておけよ。」
「……覚悟?」
「あの人も男だってことをだ。」
「………はい。」
私の女の感は当たりだったというわけだ。
かなり落ち込むけど
ダズさんの言うとおり、ここまで来たら現実を受け止めるしかない。
中心街から一本横に逸れると
ネオンが光る建物がいくつも並んだ通りに出た。
ホテル街だ。
奴隷時代、客の男たちによく連れてこられたような場所が、この島にもあったんだ。
嫌なことを思い出しながら、ダズさんの後ろを歩く。
「隠れろ。」
「見つけたんですか?」
建物の影に隠れ、気まずそうにダズさんが目配せをした方を見れば
「……やっぱり。」
クロコダイルさんと、あの店員さん。
腕を組んで歩いている。
「…おれが前にあの人をここで見かけた時も、相手はあの女だったな。」
2人はそのまま、一番高級感のあるホテルへ消えていった。
「………」
「これでよくわかったろ。もうこれ以上の詮索はよせ。帰るぞ。」
「……はい。」
私たちはアジトへ戻った。
ーーーーーー
ベッドに入っても眠れるわけもなく
気を紛らわすように、私は医学の勉強に励んだ。
思いの外集中できて、嫌なことを一時忘れることができた。
しばらくして時計を見ると夜中の3時。
さすがに眠くなってきたのでベッドに入ると
玄関の開く音がした。
どうやらクロコダイルさんが帰ってきたらしい。
足音は私の部屋の前を通り過ぎて
ドアが閉まったかと思うと
しばらくしてシャワー音が聞こえてくる。
どう考えても、あの後あの店員さんとあのホテルで
”そういう事”をしてきたようだ。
悲しいような
悔しいような
なんとも言えない想いでいっぱいになり
私は無理矢理目を閉じた。