第四章 〜自覚〜
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部屋の外へ出ると、ダズさんが船を付け
こちらの船に乗り込んでくるところだった。
「敵は?」
「全員つぶした。そこの部屋に盗られた宝がある。頼む。」
「はい。」
ダズさんは私の姿を見て全てを察したようで
特に何も言わず、すれ違うときにポンと一度頭を撫でられた。
無事でよかった
とでも言われているようで、再び涙が溢れた。
クロコダイルさんは帰りの船の中でも
ずっとそばにいてくれた。
部屋の片隅では
こっそり吊るした、あのてるてる坊主が揺れている。
「……いつも私を絶望から助け出してくれますね。クロコダイルさんは。」
「……偶然だ。」
「私…男の人から乱暴されるの…慣れたつもりでいました。いつもそうだったから。でも……この2ヶ月が幸せすぎて、忘れてました……」
「……二度と思い出させねェさ。」
決して目を合わせることはないけれど
私に向けられたその優しい言葉に
彼の横顔に
好きな気持ちが溢れていく。
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アジトに戻り
すぐにシャワーを浴びた。
洗っても洗っても
あの男たちの痕跡が残っている気がして
泣きながら、何度も何度も赤くなっても
体を擦り続けた。
シャワーから出ると
クロコダイルさんが荒らされた倉庫を片付けていた。
ダズさんは入り口のドアを直している。
「クロコダイルさん、手伝います。」
「いらねェよ。疲れただろう。今日は食事の支度もいい。何もせず寝てろ。」
さすがに今日のクロコダイルさんは優しい。
こんなに気遣ってくれることは今までになかった。
その優しさに
再び目頭が熱くなる。
「…ありがとうございます。」
ふと、倉庫の椅子にかけてある
クロコダイルさんの上着が目に入る。
「……これ、借りてもいいですか?」
「………汚すんじゃねェぞ。」
部屋に入り、ベッドに寝転んで
クロコダイルさんの上着を頭からかぶる。
全身を彼に包まれているような安心感から
私はすぐに眠りにつくことができた。