プロローグ 〜出会い〜
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もしとっさに座らなかったら
私も一緒に真っ二つになっていただろうと想うと、ゾッとする。
斬られた壁からそっと顔を出して周りを見回す。
私を閉じ込めていた海賊たちは
ゾンビのように干からびていたり
体中刻まれ血だらけで倒れていたり
見るも無残な状態だった。
その中に2人の大男が立っている。
「口程にもねェ。」
「金目のものはありそうか?さっさと奪ってアジトへ戻るぜ。」
「へい。」
まさかあの2人だけで
この数の海賊たちをやっちゃったの?
信じられない光景に目を離せないでいると
男の一人と目が合った。
やばい。見つかった。
急いで身を隠す。
こんなことしても
きっと私も海賊たちのように殺されるんだろうけど…
目の前にサラサラと砂が流れてくる。
なんでこんなところに砂が…?
その砂は見る見る人の形になっていき
現れたのは先ほどの大男。
「っ……」
その迫力に
怖くて声が出せない。
「……てめェは…奴隷か?」
「……はい…」
一言答えるのが精一杯だった。
手足はガタガタと震える。
「悪趣味な奴らだ。」
鉤爪で顎をあげられる。
金属の冷たい感覚が伝わる。
殺すなら一思いにやってほしい。
恨めしい目で男を見つめる。
「小せェ宝箱2つしか見当たらねェぜ、ボス。」
もう一人の男の声が上から聞こえた。
「チッ…シケてんな。」
「その女は…奴隷ですかい?」
「あァ。こいつも連れていく。ついて来い、女。」
殺されない…ということは
私は今日からこの男たちの奴隷になるんだ。
繋がれているわけでもないけど
こんな化け物のように強い人たちから逃げられるわけがない。
砂になって移動する人間なんて聞いたこともない。
私は重い足取りで
男たちの後ろをついて歩いた。
これが奴隷であった私と
恩人クロコダイルさんとの出会い。