第三章 〜目標〜
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しばらくして、林の方から
2つの大きな影が見えた。
「ミドリ、んなところで何してんだ。」
「!!クロコダイルさん、ダズさん、おかえりなさい。」
2人に駆け寄る。
無事な姿に安心して自然と笑顔がこぼれる。
ダズさんは大きな袋を2つ肩に乗せていた。
きっと戦利品だ。
やっぱりこの2人は強いんだ。
私の心配なんて、本当に不要なものだった。
ホッと胸を撫で下ろす。
部屋に入って2人にタオルを渡す。
雨で濡れた服を脱ぎ
上半身裸になった2人を見てハッとした。
ところどころ赤く腫れ
血が滲んでいるところもある。
古傷もたくさんあるが
この新しい傷はきっと、今付けてきたもの。
「怪我してるじゃないですか!」
思わず声を荒げてしまった。
「あ?こんなの怪我のうちに入らねェよ。」
「海賊同士の戦いで、無傷で戻るとでも思ったか。」
「この雨じゃボスも砂になれねェから。」
「うるせェ。」
この人たちは毎日が命がけなんだ。
これが海賊。
改めて2人のすごさに胸がドキドキする。
「薬持ってきます。」
「いらねェよ。それより風呂だ。」
「おれも着替えてくる。」
クロコダイルさんはお風呂場へ
ダズさんは自室へ行ってしまった。
私がダイニングで薬箱を用意していると
濡れた服を脱ぎ、替えの服を手にダズさんが戻ってきた。
「失礼します!」
「なんだいきなり。」
「手当てだけさせてください。」
椅子に座らそうとダズさんの身体を押すが
ビクともしない。
「いらねェってボスに言われたろう。」
「2人のお世話をするのが私の仕事です。座ってください!」
「しつこいぞ。」
「手当てさせてもらえないのなら、夕食を出しません!」
「………」
ダズさんは面倒臭そうに椅子に腰掛けた。
体の傷を消毒して、薬を塗っていく。
このアジトにはもともと薬なんてひとつもなかったのだけど
念のためと買っておいてよかった。
しばらくすると
お風呂上がりのクロコダイルさんもやってきた。
「クロコダイルさん、座ってください。」
「あァ?」
「薬を塗らせてください。」
座らせようと腕を引っ張るが
やっぱりビクともしない。
「クロコダイルさん、その女意外と強情ですぜ。」
体中テープと包帯だらけのダズさんを見て
クロコダイルさんは笑った。
「クハハハハ。まるで母親だな。」
笑いながらも椅子に座ってくれたので
服を脱いでもらい、手当てをする。
2人が私をここにおいてくれるのなら
私は少しでも2人のためになることをしたい。
役に立ちたい。
傷を癒してあげたい。
楽にしてあげたい。
そんな想いで頭がいっぱいだった。