〜最終章〜
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島が見えなくなっても
私たちは2人船の後尾で海を見ていた。
「ミドリ、いろいろ驚かせちゃったね。」
「うん。いろいろビックリしたよ。」
笑って答えると、力強く抱き締められた。
久しぶりのコビーの腕の中。
満喫するように私は目を閉じる。
「会いたかった。」
「うん、私も。」
「元気そうで、安心したよ。」
「こっちのセリフだよ。無事に帰ってきてくれてありがとう。」
顔を見上げて言えば
コビーの笑顔がそこにあった。
ずっとそうやって笑いかけてくれるのを待っていた。
笑顔を返すと
コビーから口付けをしてくれた。
短くも長くもないキス。
半年ぶりのキス。
2度、3度と口付けて
唇が離れるとコビーの胸に顔を添える。
「コビー、背が伸びたね。」
「はは。ヘルメッポさんにも言われたよ。」
しばらくそうやって抱き合っていた。
会えないでいた時間を埋めるように。
波の音だけが静かに2人を包む。
「結婚しよう。」
驚いて顔を上げる。
「さっきご両親に話した僕の気持ちは本気だよ。」
真剣な顔つきで言われ、頬に手を添えられた。
「もちろん今すぐにとは言わない。僕らはまだ18だし。」
気付けば私の目からは涙が溢れていた。
「ずっと考えてたんだ。ひとりの兵士として、やっぱり会えない日は寂しい思いをさせてしまうし。どうしたらミドリを安心させられるか。」
親指で次々と溢れる涙を拭ってくれる。
「家族になりたい。ミドリ。一生そばにいて、大事にしたいんだ。」
コビーは腰をかがめて
私と目線を合わせるように顔を覗き込むと
もう一度いった。
「僕と、結婚してください。」
「……はい。」
嬉しくて、涙が止まらなくて、苦しくて
一言返事をするのが精一杯だった。
コビーは全てわかっているように
涙が伝う私の頬に何度もキスをくれた。
「コビー、おかえりなさい。」
「うん、ただいま。」
出会いは小さな町の海軍基地。
そこから2年の時を経て、2人は結ばれ
愛を知り
会えない寂しさを知り
ひとつになる喜びを知り
一緒に大人になっていく。
命をかけた毎日の中で
これからも共に生きていく。
あなたのそばで。
…fin