〜最終章〜
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「もったいないことしたわね〜」
「こんないい人なかなか出会えないわよ?」
「院長夫人なんて、望んでもそうそうなれるものじゃないのに。」
お見合いを断ってからというもの
お母さんの愚痴が止まることはなかった。
「はいはい、悪かったってば。でも私には私の考えがあるの!」
「近い将来孫の顔が見られるかと思ったけど、これじゃあまだまだ先ね。」
「もうしつこ〜い!」
愚痴を聞きながら荷造りをする。
明日、海軍の連絡船に乗って本部に帰る予定だからだ。
あっという間の1週間の里帰りだったけど
ゆっくり休めた。
明日からまた忙しい日々が始まるけど
頑張れそう。
コビーのことも
お見合いを断ったことで、帰ってくるまで必ず待つと、改めて決心がついた。
ーーーーーー
本部へ帰る日。
船が到着したと連絡を受けて港へ向かう。
「ミドリ、じゃあ元気で頑張れよ。」
「またいつでも帰ってきなさいね。」
お父さんとお母さんも見送りに来てくれた。
「ありがとう。2人も元気でいてね。」
ぎゅっと2人と抱き合う。
「あら、兵士さんが……」
お母さんの声を聞いて船の方を振り返ると
一人、こちらに向かって歩いてくる影。
「ミドリ!」
「うそ……」
こちらに向かって手を上げる。
私は幻でも見ているのか。
いや、それは確かにコビーだった。
「コビー?……どうして…」
思わず走って駆け寄る。
「帰ってきたよ。この連絡船が153支部に行くって聞いて、迎えにきた。」
久しぶりの笑顔に涙が溢れ、その場に膝をついて泣き崩れた。
本当にコビーだ。
無事だった。
約束通り、無事に私のところに帰ってきてくれた。
「ミドリ!?ごめん、驚かせちゃったかな。」
コビーに支えられて立ち上がる。
お父さんとお母さんも隣に追いついてきたので、私は必死に涙を拭う。
「ミドリ?どうしたのよ。この方は?」
「まさか、本部のコビー大佐では…」
「あら、お父さん知ってるの?」
「前に新聞に載ってたろ。あのロッキーポート事件の。」
「へぇ。」
コビーは姿勢を正し、両親に向かって頭を下げる。
「はじめまして。コビーと申します。ミドリさんとお付き合いをさせていただいています。」
突然のコビーの告白に両親だけでなく私も驚いてしまった。
まさかそんな急に挨拶するなんて。
真面目なコビーらしい。
私はコビーの隣に並んだ。