〜最終章〜
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困ったことになった。
でも約束してしまった以上、キャンセルするわけにはいかない。
待ち合わせ場所は、シェルズタウンで一番人気のあるレストラン。
申し訳ないけど、食事だけお付き合いして
やんわりとお断りさせてもらおう。
約束の時間にレストランへ行くと
店員さんに一番奥の席へ通された。
「はじめまして。ミドリです。」
「今日はありがとうございます!」
相手の男性は、写真の通り
私より少し大人で、落ち着いていて
とても良い人だった。
他愛無い話をしながら食事をする。
お父さんがこの町で個人医院を営んでいて、そこで医者をしていると言っていた。
「じゃあ、将来はその病院を継ぐんですね。」
「はい。だから…一緒に病院を支えていってくれる相手を探しているんです。ミドリさんは海軍で医療の仕事をしていると聞いて、ぜひ会ってみたいなって。」
「そうだったんですか…」
「写真のとおり、可愛らしくて素敵な女性だ。」
「いえ、そんな……」
「あの…良かったら結婚を前提に、僕とお付き合いしてもらえませんか?」
驚いた。
まさか会ったその日に申し込まれるとは思っていなかった。
お見合いってそういうものなのかな。
「ごめんなさい。実は……」
私は全て正直に話して謝った。
母が勝手に約束を取り付けてしまったこと、
自分にはお付き合いしている人がいること、
海軍を離れる気はないこと。
彼は怒りもせず笑って、お幸せに、と言ってくれた。
急にまた、コビーのことが恋しくなった。
やっぱり私はコビーでなきゃダメなんだ。
会いたい。
抱き締めて欲しい。
キスしてほしい。
その安心する笑顔で私に笑いかけてほしい。
レストランからの帰り道、堪えていた涙が
一筋だけ頬を伝った。