〜第九章〜
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体に力が入らない。
服を直して、ベッドに横になると
心配そうにコビーも隣に横になって
布団をかけてくれた。
「大丈夫?どこも痛くない?」
「まだちょっと痛いけど…嬉しい痛みだよ。」
「ごめん。僕がもっとうまくできていれば…」
「初めてだもん。痛いのは当然だよ。コビーは悪くない。」
腕を伸ばして抱き付く。
「それよりも、すごく幸せだった。」
「うん…僕もだ。ありがとうミドリ。」
コビーは腕枕をしてくれて
空いた手で髪を撫でてくれた。
「……よかったら朝までここにいてよ。」
「でも…コビーまた寝不足にならない?」
「大丈夫だよ。朝僕は先に起きるけど、時間まで寝てていいから。」
「コビーが起きるときに私も起こして?ちゃんと見送りたい。」
「……うん、わかったよ。」
「コビー……私待ってるから、絶対無事に帰ってきてね?」
「うん。必ず帰る。」
コビーの笑顔に安心すると
一気に眠気が襲ってきた。
仕事の疲れと、体のダルさから
すぐに私たちは眠りについた。
ーーーーーー
ずっと抱き締めていてくれた温もりが
いつの間にかなくなっていて
私はふと目が覚めた。
隣にコビーの姿はない。
飛び起きて、周りを見回す。
部屋の中にもいない。
ベッドサイドの小さい棚に
メモが残してあった。
あの丁寧なコビーの字だ。
『起こすって言ったのに
勝手に出てしまってごめんなさい。
ミドリと話をしたら、任務に行くのが
嫌になってしまいそうだったんだ。
昨日はありがとう。
僕の人生で一番素晴らしい夜だった。
どこにいても、いつも君を想ってる。
必ず戻るから、信じて待っていてほしい。
愛しています。コビー』
涙が溢れた。
大好きな人は行ってしまった。
なんだか昨日のことは夢のようで。
でも、体の奥にまだ残る少しの痛みが
夢ではなかったことを教えてくれた。
残してくれたメモを抱いて
声を殺して泣いた。
でも、泣くのは今だけにしよう。
辛いのは私だけじゃない。
コビーは必ず帰ってくる。
私にできることは、そう信じて待つことだけだ。
〜最終章へ続く〜