〜第八章〜
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「ああ〜〜!!」
部屋にあった雑誌を読みながら時間を潰していると、ベッドの方からコビーの大声が聞こえてきたので覗きに行く。
「おはよう、コビー。」
「ミドリ!ごめん!僕寝ちゃってて!!出る時間とっくに過ぎてるし!!」
コビーはベッドから立ち上がると焦って荷物をまとめ始めた。
「大丈夫だよ。チェックアウト午後1時に遅らせてもらったの。」
それを聞いて安心したのか
力が抜けたようにソファーに座り込む。
「本当ごめん…」
ひどくうなだれて落ち込んでいるコビーの隣に腰掛ける。
「私の方こそごめん。」
「え?」
「私のせいで、夜は眠れなかったんでしょ?」
「いや、ミドリのせいじゃないよ!眠れなかったのは事実だけど…それは僕が意識しすぎてて。」
「あんまりわがままは言わないようにします…」
そっとコビーの手を握る。
「わがままなんかじゃないよ。一晩ずっと一緒にいられるなんて滅多にないから、僕も嬉しかったし。」
優しすぎるコビーの言葉に
胸がぎゅっと締め付けられる。
「すき。」
溢れた想いを口にすれば
コビーはいつものように真っ赤になった。
「ぼ、僕もだよ…」
そして思いついたように立ち上がる。
「遅くなっちゃったけど、今からでも海に行こうか。あまりゆっくりはできないけど…海の家もあったし、帰る前にそこでご飯でもどう?」
「うん。行く!」
荷物をまとめて、チェックアウトをして
散歩をしながら海へ向かった。
昨日は人混みだったせいか、今日はわりと早く海へ着き、海の家で昼食をとった。
時間ギリギリまで砂浜を手を繋いで歩く。
波の音が心地いい。
「コビー、2日間楽しかった。連れてきてくれてありがとう。」
「…そう言ってくれて安心したよ。昨日なんかミドリのこと放ったらかして海賊を追いかけて行っちゃうし、今日も朝から寝ちゃってたし…彼氏として失格かなってちょっと落ち込んでたんだ。」
「そんなことない!コビーはかっこよくて誰よりも優しい、私の自慢の彼氏だよ。」
「…ありがとう…」
コビーは照れ臭そうに笑った。
「そろそろ港へ向かおうか。迎えが来る。」
「うん!」
ーーーーーー
港へ行くとすでにヘルメッポさんたちの迎えの船が着いていて
私たちが乗り込むとすぐに船は出航した。
私はホテルで買ったお土産のお菓子を兵士の皆に配って歩いた。
コビーとヘルメッポさんは甲板で何か話している。
「ちくしょう。お前ばっかりいい思いしやがって。」
「すみません…」
「俺たちなんかあの後本部に帰って海賊どもを収容して、結局いつも通り自分の部屋で寝たんだぜ。温泉入りたかったのによ。」
「まぁ、海賊を一団捕まえられたんですから。」
「……ところでお前、ついに男になったのか?」
「どういう意味ですか?僕は前から男ですよ。」
「ミドリとヤったのかって聞いてんだよ!」
「ヤっ…な!何言ってるんですか!そんなわけないじゃないですか!」
「同じ部屋だったんだろ?それで何もなしか。意気地なしめ。」
「ほっといてください。」
「キスくらいしたんだろうな。」
「………」
真っ赤になって黙り込むコビーに
ヘルメッポは満足そうにニヤリと笑うと
コビーの背中をバシっと叩く。
「まぁ一歩前進だな。」
「……はい。」
何事もなく無事に船は本部へと帰還し
ミドリとコビーの初めてのお泊まりデートは終わりを告げた。
〜第九章へ続く〜