〜第八章〜
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窓から差し込む明るい光に目が覚める。
目の前には、コビーの胸板。
眠りについたときよりも、明らかに近くにあって、むしろくっついている。
起きたての回らない頭で状況を確認する。
私の顔の下にはコビーの左腕が敷かれていて
いわゆる腕枕。
私の左腕はしっかりとコビーの体に回されていて、コビーの右手も私の背中にある。
つまり向き合って、完全に抱き合っている状態。
眠気が吹っ飛ぶ。
「………ミドリ、起きた?」
上から優しい声が降ってくる。
顔を上げると笑顔のコビー。
「……うん、おはよう…」
優しい手が髪を撫でてくれる。
「あの……何でこうなってるのかな?」
嬉しい状況だけど、恥ずかしくなって聞いてしまった。
「ミドリすぐに寝ちゃって、あ、全然良いんだけどね。寝ながらその…抱き付いてきてくれて……」
「私が?」
コビーの顔が赤くなってくる。
「そのままよく眠ってたから、起こしたらかわいそうだし、なんとなくこのままに…」
「ごめんっ!全然気付かなくて。頭も重いよね。」
焦ってコビーから離れる。
「腕枕は僕からしたんだ。つい…抱き付いてくるミドリが可愛くて…だから僕もごめん。」
朝から2人で謝りあって
なんだかそれがおかしくて、笑ってしまう。
「コビーはよく眠れた?」
「…うん…よく寝たよ。」
「よかった。」
「そろそろ起きようか。朝食の時間だ。」
「うん。」
ーーーーーー
朝食を食べながら、今日の予定を立てる。
ヘルメッポさんたちが迎えにきてくれるのは午後3時。それまで、昨日花火を見に行ったあのビーチへ散歩に行こうという話になった。
朝食後、部屋に戻ってくると
チェックアウトまではまだ少し時間があった。
「最後に温泉入ってきてもいい?」
「うん。僕は部屋で待ってるよ。」
「コビーは行かないの?」
「ほら、新聞見ておきたいなって。」
部屋に配られていた新聞を手にコビーはソファーに座った。
「じゃあ行ってくるね。」
「うん。」
ーーーーーー
朝の温泉を満喫して部屋に戻ってくると
コビーはベッドで寝ていた。
布団もかけずに大の字でうつ伏せになって
いかにも倒れ込んでそのまま眠りについたような感じ。
それを見て、私はやっと気付く。
コビーはきっと夜、ほとんど眠れなかったんだ。
「ごめんね……」
寝息を立ててぐっすり眠るコビーに
小さな声で謝る。
このままゆっくり眠らせてあげよう。
私はフロントへ電話を入れた。
「すみません、チェックアウトの時間遅らせてもらいたいのですが……」
レイトチェックアウトの手続きを終えて
ベッドの縁に座り、コビーの寝顔を眺める。
昨日は朝早く出発し、私とのデートだけでなく、海賊とも戦って、その後に花火大会の人混み
いくらコビーでも疲れてないはずない。
一緒に寝たいという私のわがままのせいでこうなってしまって、反省しながらそのピンクの髪を撫でた。