〜第八章〜
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また人混みに押されながらホテルへの帰路を歩く。
しっかりと手を握られて
時々私の様子を伺いながら、前を歩くコビーの大きな背中を見つめる。
——ミドリがやりたいことは、僕が全部受け止めるよ。
先ほどの言葉が頭から離れない。
今のままの私でいい、と言ってくれているようで、すごく嬉しかった。
帰ったらホテルで2人で眠ることになる。
これ以上ドキドキしたら
この心臓は破裂してしまうかも。
ーーーーーー
「すごい人だったね。」
部屋に戻るなり、コビーは冷蔵庫で冷やしていたお茶を出してくれた。
「ありがとう。ちょっと疲れたけど花火キレイだったし、行けてよかったよ。」
「うん。汗もかいたし、もう一回温泉行く?」
「うーん…私は部屋のシャワーでいいかな。」
「うん。僕もそうする。ミドリ、先にどうぞ。」
「いいの?」
「もちろん。」
「ありがとう。じゃあお先にいただくね。」
シャワーを浴びながら
この後のことを考える。
時間的にも、もう寝る時間。
コビーは本当にソファーで寝る気なのかな。
私は一緒でもかまわないし、むしろ一緒に寝たい。
シャワーを終えて、ホテルで用意されていたパジャマに着替えて、洗面台の前に立つ。
ドライヤーで乾かした髪をひとつにまとめて、自分を確認する。
変じゃないかな。大丈夫かな。
普段からそんなにきっちり化粧をする方ではないけれど、スッピンでコビーの前に出るのは初めて。
がっかりさせたくはないけど
後は寝るだけなのに化粧をし直すのも変なので
私はそのまま洗面所を出た。
それにきっと、コビーはそういうの気にしない人だ。
もしかしたら気付きもしないかも。
「お待たせ。コビーもシャワーどうぞ。」
「うん。ありがと……」
ソファーから立ち上がると
コビーは私をじっと見つめて立ち止まった。
「…ミドリ、何かいつもと違う?」
あれ、気付いちゃった。
やっぱり変だったのかな。
恥ずかしくなって下を向く。
「髪の毛アップにしてるからかな。あと…お化粧落としたからスッピンなの。変だからあんまり見ないで。」
「だからなんだか雰囲気が違うのか。」
コビーは腰を曲げてかがむと
下から顔を覗き込む。
「全然変じゃないよ。可愛い。」
ニッコリと微笑むと
そのまま洗面所へ行ってしまった。
また“可愛い“って言われた。
顔が熱い。
お風呂あがりだからではなく、コビーのせいだ。
今日一緒にいて気付いたけど
コビーは無意識に私を喜ばせてくれる。
言わば天然たらしかもしれない。
意外な一面を見つけて
また好きな気持ちがさらに大きくなる。
ソファーに座れば、先ほどまでコビーが座っていた温もりが残っていて
暖かい気持ちになった。